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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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迷い猫はしんだふり・前編
ゲイビ男優ジュダルを拾うシン様の話
※モブ表現あり注意!

ほぼモブのターン・たぶん続きます


拍手[23回]


 
「げー…、また縛んの?」
 男が用意している真っ赤な縄を目にして、ジュダルはベッドにだらりと身を放り投げたまま苦いものを口にしたように顔をしかめた。
「お前はそっち向きなのだから、仕方ないでしょう? ベビードール着用で、かわいい声でも聞かせてくれるなら別ですが」
「…うぇ…、ムリムリ、これでいい」
 マンションの一室を行き来しているのは、ジュダルに話しかけた男と他に数人。何気ない会話を男と続けながら、別の男が仰向けに寝転がっていたジュダルの手を丁重な動作で引いた。上体を起こす格好になったジュダルの手首は赤い縄でひとまとめにされ、ベッドのヘッド部分に固定される。腰の下に羽根枕が差しこまれて位置が調節され、上にYシャツ一枚しか着ていない両足が別々の男に左右から掴まれて開かされるのを、ジュダルは単調な作業を見るように、なんてことない目で眺めていた。
(まだそんなに外暑くないから長袖着られるし、跡ついても…ま、いっか)
 足が開かされた先には、ビデオカメラの載った三脚と、先にジュダルに話しかけてきた男の姿。
 男がカメラの映らない位置、ベッドの下方にざらりと引っくり返した『道具箱』の中身に、ジュダルは思い切り顔をゆがめた。
「うぇ~…それ使うのかよォ、ヤなんだよそれなんか動きがキモくて、」
「その顔はいいですけど、ジュダル」
「…わーってるよ、」
 ビデオカメラの赤いランプが点灯したのを見て、ジュダルはぺらぺらと喋っていた口をむっと閉じた。
「…では、はじめましょうか」
 男がギシ、とベッドのスプリングを軋ませ、カメラのファインダーに映りこんでくる。
 ジュダルの両足を掴んだ男たちは、空いたほうの手で器用にジュダルのYシャツのボタンを外し、はだけた肌にローションをとろりと垂らして撫で回しはじめた。
「…んっ…は、」
 ジュダルの唇から漏れるのは、抑えこんだような喘ぎだけ。
 カメラが回りはじめたら、しゃべらない。
 抵抗は、すきなだけしていい。
 声も、無理に出さなくていい。
 出してもいいのは、意味をなさない嬌声と、むずがるような『やだ』『やめて』。
 どれも、とうの昔に決まったことばかり。
 もう、何度もしてきたことだった。
「…っん…!」
 ぬるりと滑りを帯びたジュダルの薄い胸板を、揉みあげるよううに左右から男たちの手のひらがまさぐってくる。突起の周囲を何度も何度も揉みこまれて、少しずつそこが尖っていくさまを、静かにカメラが追っていた。
「…膨らみのない胸でも、そこはしっかり尖らせるんですね」
「…ッ…うぅ…」
 少し指摘しただけでさっと赤く染まる目元をみとめた男たちは、これだから堪らないというようにぺろりと舌なめずりをして、ベッドに散らばった玩具の中からピンクローターを拾い上げた。
「…っは、ぁ…ん、…っひぁ…ッ!?」
 スイッチが入ってブブブ、とふるえはじめたそれが、芯をもちはじめた両の乳首にぎゅっと押しつけられる。ぶるぶるっとそこから全身に伝わる振動と痺れるような感覚から逃げるように、ジュダルの脇腹がいやらしくうねった。
「っふあ、や、うぅん…っぁ、ひぅ…ン、ッン…!」
 くねる上肢を無理に押さえつけて、硬くこごった突起をぐりぐりと小さな玩具で苛めれば、ジュダルの身体は耐えきれないというようにびくびくっと跳ねる。
「…何逃げてるんです? 気持ちいいんでしょう…? ほら、ここもこんなにパクパクさせて…」
「っひ、やぅん…ッッあ、ひ、っくぅ…はっ、」
 言葉で煽っていただけの男が、大きく開かされたジュダルの内股をするりと撫でて、露わになっている尻の窪みに親指をぐちゅ、と食いこませた。興奮した身体は異物を受け入れるときゅうっとこわばって、言葉で意識させられたためにひくひくと開閉を繰り返す。
「~~ッッ!! ぁ、…っうぅ…ん、」
 ぐっと親指の付け根まで埋めこまれたまま動かなくなった手に安堵する間もなく、乳頭を押し潰すようにローターが責め続けて、腰に送りこまれる熱のせいでどうしても指を食まされたそこをきゅうきゅうと締めつけてしまう。
「っはぁう、や、んんぅ…ッッ…ぁ、あ…っ…、」
「…ほら、自分でもわかっているでしょう? あなたのお尻が、どんどん大きく私の指を咀嚼してきているのを」
「…ッッは、ちが、…っやだ、ぁ…ん、ンン…ッ…!」
 身体の反応を抑えるようにぎゅうと目をつむり、羞恥に泣きそうな声をこぼしながらゆるゆるとかぶりを振るジュダルをにんまり細めた目で見つめながら、尻に埋めこまれていた男の指が手首ごとぐるりと回される。
「ッは…!!」
「乳首、気持ちいいんでしょう? それとも、こちらのほうが好きかな?」
 ごつごつした太めの男の親指が、内襞の凹凸を擦るようにぬちぬちと抜き差しをはじめた。
「あっあ、んン…ッ!! は、や、っひぅ…ッア、」
 時折手首を回されて中が強く抉られて、ひくっとジュダルの腰がいやらしく前につきあげられる。何度も何度も中を捏ねる太い指に、蕩かされた腸壁がしっとりと絡みつき蠢きはじめた。
「っふ、あ…ッッあ…!?」
 目の前の快楽にとろりと溶けそうになっていると、不意に胸の上をすべっていた振動が離れていき、代わりに男たちの唇が刺激されて腫れぼったくなった胸の飾りに吸いついてきた。じゅうっときつめに吸われて、その強い刺激から逃げるように背がしなり、胸がつきだすような格好になる。
「…おや、」
「あっう、ンン…ッッ…ひン…ッ!!」
 勃ちあがった胸の先端にぐりぐりと舌を押しつけて、軽く歯で擦るように甘噛みすれば、胸と後ろの刺激だけで既に張り詰めていたジュダルのペニスからとぷっと先走りの蜜があふれた。
「ただお尻を擦られるよりも、乳首を噛まれたほうがすきなんですか? 一気にカウパーが溢れてきたし、それに…ここも、親指だけでは足りないみたいだ」
「!! ちが、ひうぅ…ッッ! ん、あ、あ、っくぅ…~~ッ!」
 じっと視線を注がれているのが蜜をこぼす陰茎だとわかってジュダルの頬にさっと朱が差し、きゅっと腰に力がこもる。根元までずっぷり埋めこんでいた親指をずるりと抜き出して、すぐに男の人差し指と中指がずちゅっと奥まではめこまれた。
「っはあぁ…ぁ、あっ…!」
「指二本と、乳首だけで十分みたいですね。…まったく、いつの間にこんなにいやらしい子に育ったんだか」
「ッッな、ヒ、あぁ…っ!! っやだ、や、」
 苦笑めいた男のセリフに目を見開き、誰のせいだと思わず抗議しようと開いた口からあふれたのは、激しく中を擦りたてる指と、弱く強く胸の尖りに歯を立て吸いあげる唇によって、強制的に引き出された嬌声で。
 親指では届かなかったジュダルの弱点を指の腹が強く擦ったのと、カリッと右の乳首を強めに噛まれた衝撃で、ジュダルの背筋をびりびりっと狂おしいほどの痺れが走った。
「っあ、…ッッうんン…~~~ッ!!」
 がしゃっとベッドヘッドに括りつけられていた手首が跳ねて当たって、静かな部屋に大きく響く。
 ひゅくっと噴き上げた白濁でぱたぱたと内股を濡らしたジュダルは、うつろに潤んだ目で、小さな唇から荒くなった息を何度も漏らした。
「っはぁ、は…っは…ッッ…は…、ぅ、えっ…!?」
 ふわふわと意識を漂わせ、ただせわしない呼吸を繰り返していると、指が引き抜かれた箇所にぴとりと押し当てられた感触のせいで、軽い危機感とともに現実味が戻ってくる。
「…まだ、終わりませんよ?」
「っえ、ちょっとま…っは、うぅん…――ッッ!」
 絶頂の余韻にひくついた後孔にあてがわれたのは、雄の形をしたシリコン製のバイブレータ。
 ローションを垂らされたそれはジュダルの尻にぐっぐっと突き入れるたびにぷちゅ、といやらしい水音を立てた。
「ンンッ…っふ、…はぁ、…ッん、く…」
「今度は、ちゃんとこちらも触ってあげましょうか」
「ふ、あ…えっ……ちょ、何それ…っはあ、ぁ…!!」
 指よりずっと質量の大きいそれを咥えこまされて、はめこむ動きが止まっているうちに異物感を身体になじませようと息を吐いていると、今度は何か温かいものがペニスを包みこんで、その初めての異質な感覚にジュダルは思わずそちらに目を向けた。
 ジュダルの陰茎に装着されたのは、一見少し分厚いコンドームのような形をした、ゼリーとゴム状のものだった。透けた素材でできたそれは、内側にいくつもイボイボした突起があって、それごとペニスを扱かれると突起が擦れる仕組みになっている。
「オナホールですよ。使ったことはなかったですか? 普通、一人で使うものですが。これはこれで、いいものでしょう?」
「っな、ふ、あっ…な、に…あっつ…ッうぅん…!」
 何度か説明するようにゆるゆるとオナホールをつけたまま扱かれて、ぐりゅ、とペニスをこすっていく突起にかあっと腰が熱くなる。そこが熱く感じられるのは、きっとその刺激のせいだけではなかった。その性具自体が温かいのか、下肢が蕩けてしまいそうなその感覚に、ジュダルは訴えるように男を睨みあげた。
「…ああ、それにつけたローションは摩擦で発熱するタイプですから。ここ、とろけそうなくらい気持ちいいでしょう?」
「っふあ、あ、あっあ、っや、やだぁ…やめ、ひっ…んっん、アッ…~~っ!!」
 ずりゅ、ずりゅとペニスを擦る手が速まって、腰から下を灼く熱が本当に蕩けてしまいそうに熱くて、そればかりか尻穴にはめこまれていたバイブが小刻みにふるえはじめて、とろりと溶ける理性に追い討ちをかけてくる。
「ふ、うゃ、あぁ…っあ、んく、んっ…あっあ、やぁ…っ、」
「よすぎて、イヤ?」
「っん、ん、」
 囁きに誘導されるように素直にこくこくと頷けば、きゅっと噛み締めた唇にぬるりと擦りつけられた体温があった。
「舐めて、」
「っ…んぐ、んっ…む、…ぁう、…っふ…」
 ここまでくると、あとはもう、教えられた通りに夢中で舌を動かして、気持ちよくなったら射精して、記憶は曖昧になって、ふつりと途切れるだけ。
(おかしく、なる)
 それが、ジュダルの日常に組みこまれた『当たり前のこと』だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 中学卒業間際で、両親が交通事故で死んだ。
 身体も表情も以前みたいにちゃんと動作するけれど、どこかががらんどうになった感じのまま卒業式を迎えて、中学の制服は脱がなきゃいけなくて、高校の制服も着られなくなって、思考がうまくまとまらなくて、とりあえず仕事を探さなきゃと思っているのに何を心に決めたわけでもないままふらふらと街をただ歩いていたところで、声をかけられた。
 通された事務所は、AV制作会社『アル・ザーメン』。
 そのふざけた社名と、当たり前だが怪しい雰囲気とは裏腹に、そこに出入りしている人間は皆優しかった。いきなり拾ってきた人間に簡単な仕事を与えて、居場所を与えて、それなりに可愛がってくれた。
 だから、特に不自由はなかったのだ。ただ、年を重ねるにつれて少しずつ、事務所の棚に並んでいるような類のやらしいことをされるようになった。
 俺は男だけれどいいのか、と聞いたら、『表に流通しないものはこっちでも売れるんだ』と言われた。
 あんなかわいい声出して、楽しんでいる振りは難しいと言ったら、『お前は今のままでいいよ』と言われた。
 恩返しがしたいと思っていたから、それならもう、いいやと思った。
 でも最近、以前のような心ががらんとしたような感覚が強くなってきた。
 だから、いずれこうなるんじゃないかとは思っていたのだ。
「………」
 気怠かった身体が少し回復するのを待って、ふらりと事務所から外に出る。
(きっと、俺は)
(結局、あいつらに拾われても、何も変わってなかったのかもな)
(ずっと、からっぽのままだ)
 どこに向かうでもなくただひたすら歩いていたら、雨が降ってきて、ぴしぴしと打ちつける強い雨粒に視界が曖昧になって、気づいたら帰り道もわからなくなっていた。
「………」
 ふと電柱の前で立ち止まって、その硬い柱にこつ、と額を預けて、目を閉じた。
 しんしんと、静かに冷たい雨が染みこんでいく。
 指先までがすっと冷えたと思ったら身体の力が抜けて、コンクリートの柱に寄り添うようにその場にうずくまった。
(誰かまた、拾ってくれないかな)
 そんな甘えた考えが閉じた瞼のうらに浮かんで、これだからダメなんだというように思考を振り払った。
(いや、)
(このまま冷たくなったほうがいいのかも)
(どうせ俺は、どこまで行っても)
「おい」
 身体の芯まで冷えて、自分でも寝ているか起きているかわからないくらいの意識しか保てない状態で、精悍な男の声がした。
「…人間か?」
 小さく小さくうずくまっていたから、布のかたまりか何かに見えたのかもしれない。
 それでもムッと面白くない感情が湧きおこるのがわかって、まるで拗ねたように無視を決めこんだ。
 迷い猫は、死んだふり。
(人間で困るなら、ほっとけ)
(猫なら飼う?)
(犬なら?)
(鳥なら?)
 でも、じっと動かないそのかたまりを抱き上げた腕の温かさに、卑屈になっていた心がほろりととけてしまうのがわかる。
(うそ)
(なんでもいい、)
(あったかい)
(さみしい)
「………、」
 尻尾をするりと絡めるように、抱かれた腕にきゅっと抱きついたけれど、冷えきった身体は男の体温に安堵したのか、意識の糸はそこでふつりと途切れてしまった。
 










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