二次創作女性向小説置き場
主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受)
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2024.05.06 Monday
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ただ、ひとつだけを
2011.09.09 Friday
「ッッ…は、ぁ……っ、…ぅ、…ッ……!」
あまい、におい。
周りの酸素が急に薄くなったみたいに苦しくて、大きく息を吸いこめば濃い香りにくらりと脳を揺さぶられて意識がまとまらず、取りこんだ肺から全身に痺れが広がっていく。
(これは、何だっけ)
思い当たる症状から記憶を探って毒の正体を突きとめようとした雪男は、不意にぎゅっと心臓が掴まれたような苦しさを感じて息を詰めた。
「――ッ!?」
全身が大きく脈打つ。
どくどくと鼓動が体内を暴れる。
生まれた熱が、一カ所に集まっていく。
――“いつも”と違う?
ぐったりと背をソファに預けたまま振り仰げば、男はいつものように笑みを浮かべた。
――これは、罰だ。
埃が窓に差す光を透かしてちらちらと輝くような、お世辞にも綺麗とは言えない教授室。
古めかしい紙の匂いのする閉塞的でせせこましい空間で、雪男は提出したレポートに目をすべらせる男をわずかに緊張した面もちで見守っていた。
「うん。……雪男くん、君はもう悪魔薬学の知識に関しては一通り理解しているみたいだ。この短期間でよく頑張ったね」
「ありがとうございます、先生」
労いの言葉をかけられて、身体に入っていた力が抜けじわりと口元に笑みが浮かぶ。一人でただひたすら知識を頭に叩きこんでも、認められなければ意味がない。――特に、今の自分の置かれている立場を考えれば。
「――さて、今日は」
手にしていたレポート用紙を机に置き、男が立ち上がる。部屋の隅にあった小さな金属製の箱を開け、何やら組み立てながら雪男に向ける言葉を続けた。
「いや、今日からは、かな。『訓練』をはじめようか、雪男くん」
男はにっこりと口角を引き上げた。組み立てた注射器を持った手は一瞬のうちに伸びて雪男の首筋にとんと触れ、かすかな違和感のような痺れが背筋から指先まで広がっていく。
「!?」
「軽度の毒なら、身をもって知っていたほうがいい。耐性もつくし、人体にも有害なものと、悪魔だけに効くものもある。それを確かめるためにも、丁度いいんじゃないかな? ――奥村、雪男くん」
そう。
最初は、ただの毒だった。
痺れたり、身体の力が抜けたり、発熱したり。
今日は耐性をつけるため、と前に使った毒を使われて、ぐったりとソファに身体を沈みこませていた。
それとは別の小瓶を持ってきた男が、栓をしていたコルクをきゅぽんと抜いた。
「これは液体じゃなくて、嗅ぐだけで効果が表れるから」
「――ッ!?」
すぐに男の手で口がぐっと塞がれて、深く瓶の中身を嗅がされる。
小瓶を素早く元に戻した男は、いつもなら自分のデスクチェアに戻って色々と使用した薬物・毒物に関する蘊蓄を説明してくれるはずだった。しかし、深く吸いこんだあまいあまい匂いにくらくらと視線をさまよわせる雪男の頭上がふっと翳って、キシッとソファが沈んで、重たくなってきた頭を無理にあげれば間近に映るのはいつも通りの男の笑み。
「…、…な、に…」
「これは、未成年の雪男くんにはまだ教えていないものかもしれないね。…まあ、こういうものもあるって知るには、ちょうどいいんじゃないかなあ」
きっちりと締められたネクタイが、苦しくなってきたでしょ? と緩められてするりと引き抜かれる。
Yシャツのボタンを外されていくのがわかっていても、危機感は濃いだるさに吸いとられたようにその指の動きを視線で辿るだけで。
苦しかった喉が少しだけ楽になって、雪男は安堵の息すら洩らしていた。
それがどれだけ愚かなことか、頭が冷えてしまえば思い知らされるとも知らずに。
「ッ…ぅ、は…っ……は…、」
教授の口から紡がれる説明を気を抜けば取りこぼしてしまいそうで、身体から熱を少しでも逃がそうと息を大きく吐き出して、必死に言葉の意味を頭の中で結びつけ、記憶していく。
いつも少なからず平静の状態ではないから、慣れてきたつもりだったのに、今日は毛色が違いすぎた。
「――ほら、触られるとなんか変な感じしない?」
鎖骨を男の手のひらにさすられるだけで、ざあっと鳥肌が立って腰の奥に熱が集中するのがわかる。
「うっ…、」
歯を食い縛ろうとしてもうまく顎に力が入らないから、情けなく上擦る声。
与えられた感触を反芻させるように何度か同じところを撫で回されて、ぶるっと腰がふるえた。
「ッッ…ぁ、う…っ…」
置かれた状況はいつもよりおかしいとはわかっているのに、与えられる手の熱さに口に出すべき言葉はすぐ霧散してしまう。
気がつけばスラックスと下着がずるりと引き下ろされて、肌に触れられるだけで反応していた欲望が手のひらに握りこまれた。
「ひっ、」
びくんと喉が反って、怯えたように声が引きつる。
「ここも勃起しやすくなるし、粘膜の分泌物も増える」
「――ッッ!!」
自分のものがどくどくと熱く脈を打っているのが他人の手に包みこまれたことで思い知らされて、羞恥に脳が焼け焦げるような錯覚に陥る。声にならない悲鳴をあげた雪男のひきつった口端に節ばった中指がぐっと差し込まれて、口内の粘膜をぐるりと抉った。
「んん…ッ!」
ぞくっと頭の後ろを走った痺れの正体は考えないようにして、少し乱暴な動作と苦しさに抗議の声をあげる。
口の中に溜まっていた唾液をぐるりと掬いとるように指を曲げながら抜き取られて、とろりと雪男の唇から粘着質な蜜が糸を引き、彼の顎とシャツの肌蹴られた胸元を汚した。
「…ほら、口の中も熱いし、――ここも」
内股が膝でぐっと割られて、開かされた足の間に先ほど口腔を抉った指が忍びこみ、ぬるりと窄まりを一撫でしたかと思うとずずっと中まで押しこまれる。
「ヒッ…~~~!!」
あまい香りにぐずぐずとぬかるんでいた意識が、急に鋭い危機感をもって強い力で雪男に現実を突きつけてくる。
「ひ、ッやだ、なっ…ン、そこ……ッッあ…!」
(うそだ、まさか、こんな)
足を開かされて、指をねじこまれた場所。
一瞬、脳裏をよぎった禁忌の残像。
――ああ、罰か。
”あんなこと”を想像した、罰。
(こんな風に、ここで、身体を繋ぐ、なんて)
身体がぎゅっと竦んで、中の異物をきつくきつく締め付ける。呼吸とともに蠢く内部は、そこがきゅうきゅうとうねるたびに着実に熱を増やしていった。
「ッッぁ…は、う、ぅっ……く、ぁ、あ…っ!」
――これは、罰だ。
(だから、その名を呼んじゃいけない)
(たとえ、心の中でも)
(今、思い浮かべちゃいけない)
(瞼の裏に引っ張りだしてはいけない)
何度も何度も言い聞かせて、一度枷を外してしまえばあふれたものは二度と元に戻らない気がして、それがこわくて、全力で引き戻されそうになる思考から目を逸らした。
(違う、違う)
(これは、訓練なんだ)
(こんなもの、平気にならなきゃいけないんだ)
(そうだ)
(僕は、強くなるんだ)
「…ッッ!!」
ぐるりと中が指の腹で擦られて、びくっと腰が前面に突きだすように浮いた。
何度も、何度も口の中で唱える。
秘めた思いと、今の行為が結びついてしまわぬように。
(これは、弱い僕への罰なんだ)
(僕は、兄さんを守るんだ)
(それ以外の目的なんてない)
(絶対に、ない)
強く、強く願う。
これが、本心であってくれと。
しかし、しっかりと意志を固めた直後、終わりは訪れた。
「っあ、ふあ…ッぁ、あ、――ッッ!!」
熱く育った雄に絡んでいた指が幹を扱きあげ、毒の作用でぐずぐずに溶けた中を引っかくように指の腹が抉ったから。
どくっと白濁を吐き出すと、意識の芯がずるりと抜き取られたかのように一気に身体が重くなって、気を失ってしまいそうな睡魔が襲ってきた。
「軽微な毒の種類は、あとざっと百は超える。――もちろん、こういうのも含めて」
淡々とした口調とは裏腹に、汗の浮いた額をあまやかすような指が撫でる。
「君ならきっと、耐えられるよね?」
言っていることはわかる。
ただ、あらがいようもなく眠い。
はい、と頷いた声は、ちゃんと先生の耳に届いただろうか。
強くなる。
目的は、ただそれだけでいい。
どうしてなんて、考える必要はない。
誰に押しつける気もない。
誰にも言えない思いは、心の奥の、さらに奥に。
抱えこんだそれが明けない夜をもたらすとしても、朝を望んではいけないと知っていても、雪男にとって大事な大事なものだから。
手放す気など、微塵もないのだ。
→
あまい、におい。
周りの酸素が急に薄くなったみたいに苦しくて、大きく息を吸いこめば濃い香りにくらりと脳を揺さぶられて意識がまとまらず、取りこんだ肺から全身に痺れが広がっていく。
(これは、何だっけ)
思い当たる症状から記憶を探って毒の正体を突きとめようとした雪男は、不意にぎゅっと心臓が掴まれたような苦しさを感じて息を詰めた。
「――ッ!?」
全身が大きく脈打つ。
どくどくと鼓動が体内を暴れる。
生まれた熱が、一カ所に集まっていく。
――“いつも”と違う?
ぐったりと背をソファに預けたまま振り仰げば、男はいつものように笑みを浮かべた。
――これは、罰だ。
埃が窓に差す光を透かしてちらちらと輝くような、お世辞にも綺麗とは言えない教授室。
古めかしい紙の匂いのする閉塞的でせせこましい空間で、雪男は提出したレポートに目をすべらせる男をわずかに緊張した面もちで見守っていた。
「うん。……雪男くん、君はもう悪魔薬学の知識に関しては一通り理解しているみたいだ。この短期間でよく頑張ったね」
「ありがとうございます、先生」
労いの言葉をかけられて、身体に入っていた力が抜けじわりと口元に笑みが浮かぶ。一人でただひたすら知識を頭に叩きこんでも、認められなければ意味がない。――特に、今の自分の置かれている立場を考えれば。
「――さて、今日は」
手にしていたレポート用紙を机に置き、男が立ち上がる。部屋の隅にあった小さな金属製の箱を開け、何やら組み立てながら雪男に向ける言葉を続けた。
「いや、今日からは、かな。『訓練』をはじめようか、雪男くん」
男はにっこりと口角を引き上げた。組み立てた注射器を持った手は一瞬のうちに伸びて雪男の首筋にとんと触れ、かすかな違和感のような痺れが背筋から指先まで広がっていく。
「!?」
「軽度の毒なら、身をもって知っていたほうがいい。耐性もつくし、人体にも有害なものと、悪魔だけに効くものもある。それを確かめるためにも、丁度いいんじゃないかな? ――奥村、雪男くん」
そう。
最初は、ただの毒だった。
痺れたり、身体の力が抜けたり、発熱したり。
今日は耐性をつけるため、と前に使った毒を使われて、ぐったりとソファに身体を沈みこませていた。
それとは別の小瓶を持ってきた男が、栓をしていたコルクをきゅぽんと抜いた。
「これは液体じゃなくて、嗅ぐだけで効果が表れるから」
「――ッ!?」
すぐに男の手で口がぐっと塞がれて、深く瓶の中身を嗅がされる。
小瓶を素早く元に戻した男は、いつもなら自分のデスクチェアに戻って色々と使用した薬物・毒物に関する蘊蓄を説明してくれるはずだった。しかし、深く吸いこんだあまいあまい匂いにくらくらと視線をさまよわせる雪男の頭上がふっと翳って、キシッとソファが沈んで、重たくなってきた頭を無理にあげれば間近に映るのはいつも通りの男の笑み。
「…、…な、に…」
「これは、未成年の雪男くんにはまだ教えていないものかもしれないね。…まあ、こういうものもあるって知るには、ちょうどいいんじゃないかなあ」
きっちりと締められたネクタイが、苦しくなってきたでしょ? と緩められてするりと引き抜かれる。
Yシャツのボタンを外されていくのがわかっていても、危機感は濃いだるさに吸いとられたようにその指の動きを視線で辿るだけで。
苦しかった喉が少しだけ楽になって、雪男は安堵の息すら洩らしていた。
それがどれだけ愚かなことか、頭が冷えてしまえば思い知らされるとも知らずに。
「ッ…ぅ、は…っ……は…、」
教授の口から紡がれる説明を気を抜けば取りこぼしてしまいそうで、身体から熱を少しでも逃がそうと息を大きく吐き出して、必死に言葉の意味を頭の中で結びつけ、記憶していく。
いつも少なからず平静の状態ではないから、慣れてきたつもりだったのに、今日は毛色が違いすぎた。
「――ほら、触られるとなんか変な感じしない?」
鎖骨を男の手のひらにさすられるだけで、ざあっと鳥肌が立って腰の奥に熱が集中するのがわかる。
「うっ…、」
歯を食い縛ろうとしてもうまく顎に力が入らないから、情けなく上擦る声。
与えられた感触を反芻させるように何度か同じところを撫で回されて、ぶるっと腰がふるえた。
「ッッ…ぁ、う…っ…」
置かれた状況はいつもよりおかしいとはわかっているのに、与えられる手の熱さに口に出すべき言葉はすぐ霧散してしまう。
気がつけばスラックスと下着がずるりと引き下ろされて、肌に触れられるだけで反応していた欲望が手のひらに握りこまれた。
「ひっ、」
びくんと喉が反って、怯えたように声が引きつる。
「ここも勃起しやすくなるし、粘膜の分泌物も増える」
「――ッッ!!」
自分のものがどくどくと熱く脈を打っているのが他人の手に包みこまれたことで思い知らされて、羞恥に脳が焼け焦げるような錯覚に陥る。声にならない悲鳴をあげた雪男のひきつった口端に節ばった中指がぐっと差し込まれて、口内の粘膜をぐるりと抉った。
「んん…ッ!」
ぞくっと頭の後ろを走った痺れの正体は考えないようにして、少し乱暴な動作と苦しさに抗議の声をあげる。
口の中に溜まっていた唾液をぐるりと掬いとるように指を曲げながら抜き取られて、とろりと雪男の唇から粘着質な蜜が糸を引き、彼の顎とシャツの肌蹴られた胸元を汚した。
「…ほら、口の中も熱いし、――ここも」
内股が膝でぐっと割られて、開かされた足の間に先ほど口腔を抉った指が忍びこみ、ぬるりと窄まりを一撫でしたかと思うとずずっと中まで押しこまれる。
「ヒッ…~~~!!」
あまい香りにぐずぐずとぬかるんでいた意識が、急に鋭い危機感をもって強い力で雪男に現実を突きつけてくる。
「ひ、ッやだ、なっ…ン、そこ……ッッあ…!」
(うそだ、まさか、こんな)
足を開かされて、指をねじこまれた場所。
一瞬、脳裏をよぎった禁忌の残像。
――ああ、罰か。
”あんなこと”を想像した、罰。
(こんな風に、ここで、身体を繋ぐ、なんて)
身体がぎゅっと竦んで、中の異物をきつくきつく締め付ける。呼吸とともに蠢く内部は、そこがきゅうきゅうとうねるたびに着実に熱を増やしていった。
「ッッぁ…は、う、ぅっ……く、ぁ、あ…っ!」
――これは、罰だ。
(だから、その名を呼んじゃいけない)
(たとえ、心の中でも)
(今、思い浮かべちゃいけない)
(瞼の裏に引っ張りだしてはいけない)
何度も何度も言い聞かせて、一度枷を外してしまえばあふれたものは二度と元に戻らない気がして、それがこわくて、全力で引き戻されそうになる思考から目を逸らした。
(違う、違う)
(これは、訓練なんだ)
(こんなもの、平気にならなきゃいけないんだ)
(そうだ)
(僕は、強くなるんだ)
「…ッッ!!」
ぐるりと中が指の腹で擦られて、びくっと腰が前面に突きだすように浮いた。
何度も、何度も口の中で唱える。
秘めた思いと、今の行為が結びついてしまわぬように。
(これは、弱い僕への罰なんだ)
(僕は、兄さんを守るんだ)
(それ以外の目的なんてない)
(絶対に、ない)
強く、強く願う。
これが、本心であってくれと。
しかし、しっかりと意志を固めた直後、終わりは訪れた。
「っあ、ふあ…ッぁ、あ、――ッッ!!」
熱く育った雄に絡んでいた指が幹を扱きあげ、毒の作用でぐずぐずに溶けた中を引っかくように指の腹が抉ったから。
どくっと白濁を吐き出すと、意識の芯がずるりと抜き取られたかのように一気に身体が重くなって、気を失ってしまいそうな睡魔が襲ってきた。
「軽微な毒の種類は、あとざっと百は超える。――もちろん、こういうのも含めて」
淡々とした口調とは裏腹に、汗の浮いた額をあまやかすような指が撫でる。
「君ならきっと、耐えられるよね?」
言っていることはわかる。
ただ、あらがいようもなく眠い。
はい、と頷いた声は、ちゃんと先生の耳に届いただろうか。
強くなる。
目的は、ただそれだけでいい。
どうしてなんて、考える必要はない。
誰に押しつける気もない。
誰にも言えない思いは、心の奥の、さらに奥に。
抱えこんだそれが明けない夜をもたらすとしても、朝を望んではいけないと知っていても、雪男にとって大事な大事なものだから。
手放す気など、微塵もないのだ。
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