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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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「もういいかい、」サンプル2
「もういいかい、」サンプル続きです


拍手[2回]


まあだだよ、




「――……、」
 まただ。
 時々、目を覚ますとあいつの部屋で寝ているときがある。
 いつも目の前に広がる光景が信じられなくて、頭の中がぐちゃぐちゃになって、気がつけば逃げるようにその場から消えていた。
「……~~~ッッ!」
 目が覚める前、あいつのベッドの上で見ていた『夢』を思い出すと、条件反射で消えたくなる。
(なんであいつがおれを、なんて)
(そんな夢、)
(夢だろ)
 身体が鈍くだるいのは、きっとこの暑さのせいだ。
 なんでそんな夢を見るかなんて、自分の知ったことじゃない。
 夢は、ただの夢。
(桃、よく冷えてるかな)
 頭の中に入りこんでくる記憶の残像が引き起こす熱から意識を逸らすように、ジュダルは喉の渇きを満たすことだけ考えるようにした。
 *
 
 
 
 
 黒いルフを使った新しい兵器ができたと言われて、その部屋を訪れたはずだった。
「? おい、」
 しかしその男の手はジュダルの身体を寝具に押しつけて、乾いた手のひらをあちこちにすべらせてくる。
「…なんでべたべた触ってくるんだよ、俺のオモチャは?」
 ぐっと眉を寄せてするすると肌のうえを動く手首を掴んだまではよかったのに、そこから身体はぴしりと固まって動かせなくなった。
「…っ?!」
 ――なんでだ。
 自分で掴んでおきながら、すぐにパッと手が離れる。
 触ってはいけないものを触ってしまった。
 そんなゾクリと背筋を撫でるような恐ろしさが、全身を取り巻いていた。
(なんで、)
(俺はマギなのに)
(なんでただの人間のこいつが、こんなにこわいんだ)
 戸惑う心と、勝手に怯えを映しとってわずかにふるえる肌。
 男の手のひらが、剥き出しになっている脇腹から腰骨にかけてをそろりと撫でる。
「――っ…!」
 ぞくっと肌が粟立って身体をこわばらせていると、上衣をたくしあげられて胸の粒にしゃぶりつかれた。ちゅうちゅうときつく吸われて舌で押し潰されて、ゆるく歯が立てられる。
「ひっ…! な、何してんだバカヤロッ…っう、あ、アッ…!?」
 言葉で罵ることはできるのに、抵抗できるはずの手はぎゅうっとシーツを握り締めるだけだった。
 まるで、ふるえを押さえつけることしかできないのだというように。
「ぁ、あっ…何す…っやめ、ひ、ぅうン…ッッ!」
 唾液でべとべとになった胸の飾りから口が離れて、今度はぎゅっと指で摘ままれる。ぬめりを帯びたせいでぬるぬると小さな粒を揉み転がされて、ジュダルの唇からは刺激に耐えるような泣きそうな喘ぎがこぼれた。
「ひっ、ぁ、あ、ぁ、」
(どうしよう、)
(こわい)
(何もできない)
(なんで、)
(どうして)
 身体は、熱い。
 でも、身体の芯が冷えて冷えて、小刻みなふるえは止まらなくて、そんなもの誰にも見せたくなくてシーツから指を外せない。
「ふ、ぁッ……はっ…!?!?」
 腰布がほどかれて、男の指がいきなり尻の狭間にずずっと押しこまれた。潤滑油で濡らされていたのか多少の衝撃はあったが、痛みはない。あるのは信じられない箇所への違和感と、驚きと、羞恥だった。
「ひ、~~~ッッ!!! な、や、あ、あ、」
 押しこまれた指先に微かな異物感があって、それを内壁に押しつけるようにぐりぐりと指を動かされる。
「ッッ…!! ヒッ、や、やだ、何それ、や、うぅン…ッ!」
 奥で、じわりと何かが溶けていく。
 指を押し出そうと力んでも、かえって尻の中はきゅうきゅうと指をきつく締めつけるだけで。
「ッあ、やだ、抜けよ、っぁ、ひっう…ン、ン、」
 抗議の声は情けなくふるえて、口からあふれでるのは馬鹿みたいなあまったるい声ばかりで、余計に混乱と恐怖が深まる中、男は少し驚いたように呟いた。
「……なるほど。マギ殿は、こうされることが初めてではないようだ」
「えっ…!?」
 うっすらと涙の膜が張っていたジュダルの瞳が、みるみるうちにじわりと丸まっていく。
「え、えっ……はじ、」
 真っ先に頭を過ぎったのは、夢だと思っていたつれない王の身体の熱さ。
「……かわいそうに」
 演技がかったような目の細め方をして、微塵も心のこもっていないような男の声が届いたけれど、ジュダルはもちろんそれどころではなくて。
「それでは我々も、手加減する必要はないということだ」
「ッッ!?」
 ドクッと全身が跳ねたかと思うくらいに大きく心臓が鳴る。
 内臓が熱で食い破られるかと思うくらいに、一気に身体の中心が焼かれるような強い力があふれだす。
 代わりに頭の中に流れこんでくるのは、真っ黒な映像。
 何かと思い目を凝らした先にあったものの正体に、頭が鋭い楔で貫かれたような痛みが突き刺さってバチンッと意識を繋ぎとめていた線が引きちぎられる。
「っああぁ…――――!!!!」
 
 
 
 ――あれは、血の色だ。
 くらくて、いたくて、つらくて、くるいそうなほどの、
 
 
 
「君はきれいな心なんてもたなくていいんだよ、マギ殿。黒いルフの加護こそが、君の力の源なのだから」

 
 
 
 届かないことを知りながら、男は堕転の証を濃く身に纏うジュダルの耳に、笑みを含んだ声で囁いた。
「せっかく私達が課していた禁を破ったのはどこの誰だか…これから、皆でかわいがりながら訊いてやろう。なぁ、マギ殿?」
 さあ、饗宴のはじまりだ。
 そう大仰な語り口調で締めくくり、ジュダルを抱きあげた男は数えきれないほどの黒い羽ばたきに包まれ、一瞬のうちに姿を消した。




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