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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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「もういいかい、」サンプル3
「もういいかい、」サンプル2の続きです



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「……あー…だっりィ……」
 呼吸のために吐き出す息すら重くて、ジュダルは木陰でぐったりと疲労を残した身体を持て余していた。
 どうしてこんなに体力を消耗しているのか、心当たりがまるでない。
(最近誰も遊んでくんねーから、魔法だってろくに使ってねーし)
 風邪でも引いたかな、と思い通りにならない身体にイライラを募らせたけれど、それも疲労感に吸い取られて長続きしない。
 瞼がじわじわと重みを増してきて、ジュダルは抗うことなく眠りに落ちこんだ。
 
 
 
 
 
 後ろから信じられない箇所に差し込まれる指。
『っひ…、』
 ずるずると容赦なく抜き差しを繰り返されて、その異物を確かめるように中がきゅうきゅうと狭くなる。
『ッう、く、ンんッ…! や、はッ…あ、アッ…!』
 身体の内側をそうやってなぞられる度にぞくぞくと背筋を悪寒に似たものが駆け抜けて、声をあげずにはいられなくて、薄くなった酸素をかき集めようと口を開けばなかなか閉じられなくなって。
『…あっ…は、ぁ、アッ…、』
 わずかにふるえる身体は力がうまく入らなくて、突っ伏した床をカリカリと引っ掻くことぐらいしかできない。
 ぐっぐっと腹の奥を強く押されて、ぎゅうっと勝手に全身がこわばって、そのくせ込めたいところに力が入らない。
『はっ…は、はあぁ…ッ…! うぁ、あ、っふ……!!』
 縋ろうと手を伸ばしても、その先には誰もいない。
 はっと今更思い出したように背後の気配を感じて、生ぬるい呼気が耳を撫でた。
『――マギ殿は、こうされることが初めてではないようだ』
 
「ッ!?」
 ばっと目を開けた先には、緑の広がる閑かな風景。
 休息を取るためのうたた寝だったはずなのに、身体の重みがなくなるどころか胸の奥に不快感まで詰めこまれて現実に引き戻されてしまった。
「…ッ…、」
 どろりと引っかけられたモヤモヤに顔を思い切りしかめたものの、ほんの少しだがむずがゆいあまさのような感触が頭の奥に残っていて。
(初めてじゃないって、)
(それが本当なら、俺を最初に抱いたのは)
(……最初?)
(なんでそんな、あいつ以外とあんなことした覚えなんて、)
(そういえば、誰だよ)
(初めてじゃないって言った奴)
「――……っ、」
 ぞくっと冷気が背を撫でる。
 表現しがたい畏(おそ)れは耳の後ろから背筋、腰までをふるわせた。
「――ッ!」
 パンッと音を立てて首の裏を叩き、ぶるぶるっと頭を振って歪みそうな視界ごと払い飛ばす。
「っ…やめやめ、」
 は、と詰めていた息を吐くと同時に無理にでも口元を笑みの形につくって、ジュダルは本格的な休息を求めるために場所を変えようと立ち上がった。
 
 
 
 
***
 
 
 
 熱い、痛い、苦しい。
『ッあ…ひ、う、あ、あぁ…ッッ!!』
 下肢が重い。怠い。腹の奥がぐちゃぐちゃに掻き回されて、全身がかあっと熱くなるのに、もう何度も何度も吐精させられたせいで出すものもなくて、苦しくなっていくばかりだった。
『っや、やだぁ…や、もっ…でな、ぁ、あ…っひ…――!!』
 弱い部分をゴリッと硬いもので擦りあげられてもきゅうぅっとそれを締めあげるだけで、腹の奥をぐるぐると熱が渦巻いたまま出口は見つからなくて、呼吸もまともにできなくて、苦しくてつらくてたまらない。
 不意に体内の熱が膨れあがって、どくりと中が濡らされる。
『――……っ…!』
 内臓を圧迫していた苦しさが少しだけマシになって、揺さぶられ続けていた腰の動きも止まる。
『っは…はぁッ…は、はっ…、ッ…』
 酸素を掻き集めるようになりふりかまわず息を吸いこめば、くらりと揺れる脳。
 そのまま、気を失ってしまえればよかったのに。
 ぽう、とほのかに身体があたたかくなる。
『――っ!?』
 安堵するようなその感覚には、覚えがあった。
 それは、ばらばらになった神経を優しく繋ぎとめてくれるような、引き裂かれた肌をやわらかく包みこんでくれるような、癒しの魔法。
 しかし、涙がじわりと浮くようなそのマゴイのぬくもりは、頭から浴びせられた男の声で戦慄に変わった。
『これで、まだまだ続けられるな』
『やっとこちらまで解禁されたんだ、こんなもので終わられては困る』
『そうだ。――宴はまだ、始まったばかりなのだから』
 終わらない責め苦を想像させられて、肌が粟立つ。
『――ッッ!!』
 身体の中も、心の中も、壊される。
 犯されて、侵される。
 身体が受けたダメージは消えても、痛みも苦しみもすべて、頭が覚えている。
『っ…やだ、…やだ、ッあ、やだ、やだあぁ…――ッッ!!!』
 
 自分の叫び声が頭に響いて目が覚めた。
「ッッ……は、……はっ………」
 こめかみの内側が、どくどくとうるさく鳴っている。
 額に浮いた汗がべっとりとして気持ちが悪い。
「………っ…」
 最近、どうも夢見がよくない。控えめに言っても最低レベルのものばかりだ。
(なんだ、これ)
(どうしてこんな)
(こんな、)
「っ……~~ッ…、」
 外は闇。
 薄い雲に隠れた月のせいか、夢を引きずって頭にかかる靄のせいか、判然としない意識のままにジュダルは移動の魔法を唱えた。
「……っ…、」
 ふらふら、ぺたぺた、逃げこむように王宮の寝室の窓からもぐりこんで、寝具の上で上体を起こしていた男へ歩み寄る。
「…ジュダル……?」
 何かを確認するような穏やかな声をかけながらシンドバッドがベッドを降りて、どこか頼りないジュダルの身体を支えるように大きな手を伸ばしてきた。
 抗わずに、とん、とその胸板に身体を預ける。しっかりと腰が抱かれて、他人の体温がじわりと伝わってきて、ジュダルの目の前がさらにぼやける。
「……っ、」
(なんで、こんなに)
(どうせ、これも夢なのに)
(夢だって、わかってるのに)
 抱き締められると、身体の力が抜けていく。
 長く長く、息を吐くことができる。
 腰を抱かれたままくるりと体勢が変えられて、ふわふわしたシーツの上にぼすっと押し倒される。
「……っ……ん…」
 やわらかい唇が降ってきて、ジュダルはもぐりこんできた舌の熱さとあまさに瞳を閉じた。
 
 
 
 
 *
 
 
 
 
 あたたかくかさついた手のひらが、脇腹を撫でる。
「ッ……、」
 うっすらと肌についた筋肉のわずかな隆起を指先でなぞられるだけで、快感が耳の後ろをぞくっとくすぐった。
「っ…ぅ、…ッン……!」
 きゅっと唇を噛み締めても、鼻の奥から聞いたこともないようなあまえた声が洩れる。
 ふるえたこめかみのあたりに唇が触れて、ぴくんと肩が跳ねた。
「ッ…!」
 ちゅ、ちゅっと繰り返し皮膚の薄いそこを啄ばまれて、ぞくぞくと首筋を撫でる悪寒が止まらなくなってくる。
 身体の芯がじわじわと熱を上げていき、唇からこぼれる呼吸の音は水分を含みはじめた。
「…っ…は…、」
 身体をくるっとひっくり返されて、剥き出しの背を腰を舌がぬるりと辿る。
「ンッ…!」
 浮き出た肩甲骨をちゅうと吸われただけで腰があからさまにぶるっと跳ねた。カッと熱くなった目元をシーツに押しつけて、羞恥から気を紛らわせるように伸ばした手をうろうろと探らせる。指先に当たった羽根枕を掴み、引き寄せてぎゅっと抱き竦めた。
「ッッ…ん、んっ……!」
 浮いた腰骨を大きな手のひらが擦りつけるように撫でて、ぞくぞくっとそこから首筋までをふるえが駆け上る。
 腰布がはらりと解かれて、香油を纏った指が奥まったそこに触れて初めて、ジュダルの身体はぎゅっとこわばった。
「……ッッ…!?」
 どうしてそうなったのか、自分でもわからない。
 ただ、今まで融けていた身体の芯が、一瞬だけひやりとしたような気がした。
 その違和感は、ぬるついて抵抗の少なくなった指がずるっと埋めこまれて少しずつ少しずつ、うっすらとした不安をジュダルの胸に広げていく。
「っ…ぁ、ッ…ぅ、ん、ンッ…!」
 身体は、まだ熱い。
 中を擦る指も、気持ちいい。
 でもひたひたと忍び寄る、この曖昧な不安は何なのか。
「っふ、あ、アッ…!?」
 身体の中の弱くてやわらかい部分を、指の腹がぐるっと抉る。
 カアッと腰の奥を灼いた強い快感に、救われたような気持ちになって知らず腰がねっとりと揺れた。
「っあ、あ、アッ…は、あぁ……ッッ!」
 あと少し。
 あと少しで、すべて忘れられる。
 なぜかそんな考えが頭を占めてぎこちなく指に尻を擦りつければ、きゅうきゅうとそれを食むように内壁がうねる。
「ひ、ぁ…ん、ンッ…ふ、あぁ…っ…!」
 しかし、指が引き抜かれて熱いものがそこに触れた瞬間、ジュダルは全身の血がザッと落ちる感覚に襲われた。
「…ぁ……、」
 目を開けているのに、すとんと闇が落ちてくる。
 快楽をまったく伴わない純粋な悪寒が一瞬で頭から爪先までを取り巻く。
 ずずっと押し入ってきた熱の塊に繋ぎとめていた虚勢の糸が切れ、ジュダルは反射的に悲鳴をあげていた。
「ひ、――ッッやだあぁ……~~っ!!!」
(やだ、やだ、)
(もう、やだ)
(助けて、)
(もう、ゆるして)
「っ? ジュダル……?」
 もがくように強く強くシーツを掻いて四つん這いのまま前に逃げれば、多少の衝撃とともに体内からずるっと脅威が抜け出て、ジュダルはその場でぎゅうと背を丸めることしかできなくなった。
「…どうした、ジュダル」
 怯える肩を、大きな手のひらがぐっと掴む。
 首の下に腕が差しこまれてわずかに上体を起こすような形で横抱きに抱き締められても、そのぬくもりが今はおそろしかった。
「ッ…やだ、……っねが…」
 お願いだから。
 ほんのわずか、吐息のように洩れた懇願の言葉に、シンドバッドの目がゆるりと見開かれる。
「……ジュダル、」
 細かくふるえるこめかみに、唇が触れる。
 分厚い手のひらが肩から二の腕へと撫でるように下りて、肘から手首までをまた撫でて、目元や頬へは唇が落ちてきた。
 歯の浮くような興奮に昂ぶっていた身体が、呼吸の仕方を思い出したことでゆっくりと収まっていく。
「っ…ふ、……ッ…ぁ……、……え、えっ…!?」
 肌を撫でる温度に安堵して、何度も息を吐いていると、不意に熱いものがジュダルの内股に触れてビクッと身体が跳ねる。
 もぞりと横抱きにされたままの体勢で身じろいだけれど、両の膝頭にぐるりと腕が巻きついてひとまとめにされ、狭くなった内股の間をずるりと熱塊が行き来しはじめた。すぐにその正体に気づいたジュダルが、羞恥で全身を赤く染めあげる。
「~~~ッな、なっ……ンンッ…!」
「…今更、おさまるわけがないだろう?」
 熱と笑みのこもった声が、耳朶をくすぐる。
 ずっずっと太股に擦りつけられる熱に、どうしたらいいかわからず混乱するジュダルの首の後ろに回っていた手が、そっと枕の上に頭を下ろした。空いた手が下肢へと移り、何度も肌をなぞられたせいで少しだけ反応を見せていたジュダルのそこを手のひらで包みこむ。
「ぁっ……ふ、ンン、んっ…!」
 しゅくしゅくと擦る動きはそのままに、シンドバッドの熱が何度もやわらかい肌の上を行き来する。肌から伝わって広がる熱と、腰の奥からカアッと灼かれるような熱に一気に取り巻かれて、ジュダルの身体がぶるっと大きくふるえた。
「ッア、は、あっあ、シッ…ぁ、あっ…――!!」
 敏感になった蜜口を親指でぐりぐりと擦られればどくりとひときわ大きく心臓が鳴って、白濁がぱたぱたと内股を濡らす。
 ほぼ同時に、爆ぜた熱がジュダルの肌にかかって、それすら過敏に掬いあげた腰が少しだけふるえた。
「ッッ…は…は、ぁ…っ…は……、」
 ぬるりと肌の上の滑りを広げるように手のひらがいやらしく動いても、混ざった欲望の証に羞恥すら感じることもできずに、ジュダルはふっと意識を手放して眠りについていた。
 
 
 
***
 
 
 
「…………」
 胸すらろくに上下せず、死んだように眠るジュダルを起こすことができない。
 目の下の隈を撫でることすら憚られるような、深い深い眠り。
 視線だけで彼をなぞることしか、許されていないような気がした。
「……ジュダル、」
 けして起こすような意図を持たない、口の中でそっと含むような小さな声でその名を呼ぶ。
 今日のジュダルを、いつものようにこのまま帰すわけにはいかなかった。
 あんな反応を、ジュダルが今まで見せたことなどなかったのだから。
 ――起きたら、ちゃんと話を聞かなければ。
 そう思って寝顔を眺める長い夜は、静謐な寂しさを纏っていた。
 
 
「――……!」
 ――しまった。
 うとうとした隙に、隣にあったはずのベッドの重みは消えていた。
 頭を抱え、長いため息をはあっと重たく吐き出す。
「……ジュダル…」
 今度ここを訪れた時は、きちんと眠れずにいるその訳を。
 そう心に決めたものの、シンドバッドは寝具の隣に空いた空間から、いつまでも目を離すことができないでいた。





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