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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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ひきがね
野菜プレイシンジュ シン様は通常運転で変態です



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 視界の端に先程からふわふわと入りこんでくるそれを無視できるほど強靭な集中力は、とっくの昔に切れている。
 せめて、あと半日ほど前に来てくれていたら、もう少しましな対処もできたのだろうけれど。
 もう少しで丸二日、寝ずに仕事に費やしていたシンドバッドは、眼前の書類になんとか視線をしがみつかせている状態だった。
「…………」
 視界にちらちら入ってくる闖入者はどうやら世界征服しようぜとかつまんねぇとかぐだぐだと喋るのはやめたらしく、ただシンドバッドの視界に映るか映らないかの一番集中力を削るようなところでふよふよと絨毯の浮遊を始めていた。しばらくは書類を読み取る努力をしていたシンドバッドだったが、段々寝不足でこわばっていた目元がぴくぴくと痙攣しはじめたのがわかる。
「なぁ~バカ殿ォ」
 飼い猫が飼い主にするりとしっぽを巻きつけたような色の混ざった声が耳に届けば、ぷつんと糸が断ち落とされる音がシンドバッドの頭に静かに響いた。
「…ジュダル」
「お、」
 名前を読んだだけで少し嬉しそうな声をひとつあげてふわりと絨毯から降り立ったジュダルは、その呼び声が含んだ不穏な重さに気づかなかったらしい。
 ジュダルの足が床につくとほぼ同時に、その身体はどっと執務机の上に押し倒された。書類だらけだった机上からざらりと紙がなだれ落ちていく。
「!?」
 思わずジュダルが驚愕と困惑の混じった目で見上げれば、その視線の先には興奮など微塵も感じられないような静かな目があった。
「…そんなに構ってほしいなら構ってやる」
 シンドバッドが引き寄せた籐籠に山と積まれているのは、完徹中に差し入れられた果物や野菜たちで。
 籠の前におかれていた器の上の、食べやすく綺麗にカットされたものを無視して、シンドバッドの手はまだ洗いあげられただけの籠の中のそれを選び出し、未だ戸惑いに瞳を揺らしたままのジュダルの頬にひたひたと突きつけた。
「コレで、な」
 まるで見せつけるように頬を軽く叩いたのは、ジュダルの大嫌いな野菜――ニンジンで。
「!!! バッ…はあぁ?! 何言ってんだバカ、帰るッ」
 シンドバッドの纏う尋常ではないほどの真剣さに危機的なおそろしさを感じて、ジュダルは背筋を這いのぼる怖気(おぞけ)を振り払うように声を張り上げた。シンドバッドの身体の下から逃げようと腰を捩ったが、両膝にのしかかられていてろくに身動きがとれない。そればかりか空いているほうの手で両手首が一括りに纏められて、ジュダルが首回りにかけていた布でぎゅっと戒められてしまった。
「さあ、どっちの口で食べたい?」
「…は? どっちの、って…んむ、んんー!!」
 薄っすら笑みを浮かべたシンドバッドが発した問いにぐっと眉を顰めたジュダルだったが、ぐりぐりと口に押しつけられたニンジンのせいで一層眉が寄ることになる。口をぎゅうと噤んでぶるぶるとかぶりを振り、必死におぞましい存在から逃れようとすれば、案外簡単に脅威はジュダルの口元から離れていった。
「うぇ…、…っにすんだよォ…絶対食わねェかんなッ!!」
 喉までこみあげてきたものに涙目になりながら怨念のこもった視線をシンドバッドにぶつければ、手の中でくるくるとジュダルの弱点をもてあそびながら据わった目が返ってきた。
「ほう…では、こちらの口しか残っていないな。ジュダル?」
 いきなりずるりと下衣が剥かれて、足首から脱ぎ落とされる。
「はっ!?!?」
 すぐに再び両膝の上に体重がかかって、露わになった下肢にジュダルの肌がさあっと紅く染まった。
「さすがにいきなりは無理だな…仕方ない」
 ジュダルにはまったく伝わらない呟きをぽつりとこぼしてから、籐籠にニンジンを戻したシンドバッドはジュダルの内股に手をかけすす、と頭を下げていく。
 シンドバッドの手からニンジンが離れたことに安堵の息をもらしたジュダルは、下腹部が急に熱く濡れたもので包みこまれる感触に襲われ無防備な悲鳴をあげた。
「ふあぁッ…!? あ、あ、っな、なんっ…ひ、やぁ、ぅんン…!」
 きゅうっと臍の奥が熱くなる感覚に目を向ければ、すっぽりとジュダルのそれを咥えこんだシンドバッドの唇に釘づけになる。
「~~~ッッ!!」
 頬が灼ける。
 眼球の表面がじわりと熱く潤んで、大粒の涙がぼろりと頬をすべり落ちていく。
 何より腰を取り巻く熱があつくてあつくて、ひくひくと跳ねる下肢が、硬く張り詰めていく性器が、たまらなく恥ずかしい。
「っや、やぅ…やだ、シッ…ひあ、あっあっ…――!」
 縋りつくように名前を呼ぼうと口を開いても、ジュッと唾液を啜りあげるようにそこを吸いあげられてずるずる唇で扱かれれば、意味のない喘ぎに変わってしまう。それが悔しくて、ジュダルの眦(まなじり)からはぼろぼろ涙がこぼれていった。
「ッぅう、やら、あ、あっ…ッ…!!」
 ぐずぐずと鼻を啜りはじめたジュダルにもお構いなしで、唾液と先走りの蜜でべとべとになった内股を撫で回していたシンドバッドの手のひらが、奥まった窄まりに移動し指をぐちゅりと埋めこんでくる。
「っひぅ、」
 体内に埋めこまれた他人の体温と硬さに、ジュダルの全身にぎゅっと力がこもる。すぐに中で尺を取るように指がぬくぬくとうごめきはじめて、身体の内側が撫でられるぞくぞくとした気持ちよさにぶるっと腰がふるえた。
「ふあ、あっ…んぅ、ン、ン、ッア…!」
 異物感に竦んでいた身体が、少しずつほぐれていく。加えて透明な蜜をこぼす先端を舐めまわされて、ジュダルの全身からはじわじわと力が抜けていった。
「っひ、ん、ンッ…ぁ、はっ…んん…っぁ…、」
 二本に増えていた指が、ずるりと引き抜かれる。
 ジュダルは、すっかり忘れていた。
 今日のシンドバッドの様子が、いつもと違っていることを。
「もうそろそろ、こっちの口もいけるんじゃないか? ジュダル」
「え……?」
 籐籠に伸びた右手。
 くったりと力の入らなくなった内股にかけられ、大きく開かせるように押さえつける左手。
 籐籠から取り出したそれを目にして、ジュダルはザッと血の気が落ちるのを感じた。
「――ッ!! っな、やだ、そっちもやだああぁッッ!! や、や…ッ!!」
 いくら声を張り上げても、ジュダルの大嫌いなそれは身体の柔らかい部分にぐぐっと入りこんでくる。
「っひ、やだ、やだぁ…シン、やっ…」
 ある程度まで押しこまれたそれは、ジュダルが本泣きになりそうになるのを堪えているうちに中の弱点をグリグリと刺激しはじめた。
「ッッあぁ…! ひ、あ、アッ…そっ…そこやっ…ッやあぁ…やだっ…シンッ、シン…っひ…!」
 異物の硬さが中を抉るたびに、今自分が何を咥えこんでいるのか思い知らされて絶望的な気分になる。そしてその絶望感を上回る快感が腰から背筋までを駆け上がるたびに、ぎゅうっと胸が苦しくなった。
(やだ、なんで)
(気持ち悪ィはずなのに、なんで)
(サイテーだ)
(こんなの、こんなの、嫌なのに)
(どうして)
 頼りなくて心細くて、シンドバッドの顔が見たくて涙でぼやけて全然見えやしない視界を何度も瞬きしてクリアにすれば、見るんじゃなかったと後悔した。
「――ッッ!!」
 泣かされる前と変わらない、薄い笑み。
 瞳の奥にどこか怒ったような色が覗いたような気がして、心臓がどくりと嫌な音を立てた。
 こわばったまま動かせなくなったジュダルの目に気づいたのか、少しだけシンドバッドの浮かべた笑みがふっと深まる。
 その表情に不穏な予感がぶわりと全身を取り巻いたけれど、気づいた時にはもう遅かった。
 ズッズッと異物を抜き差しする動きが激しくなると同時に、覆いかぶさっていた身体がふっと消える。すぐに今にも弾けそうなペニスが頬張られ、尖らせた舌で蜜口がぐりぐりっと抉られて、ジュダルの瞼の裏は真っ赤に染まった。
「ひっアッアッ、あ、っや、やあぁ…――ッッ!!!」
 きつくきつく、嫌悪するはずのそれを締めつけてしまう。
 その硬さにぞっと鳥肌が立つのに、同じくらい強い熱があふれて、あっけなく弾けた。
 どくりと吐き出した精を一滴残らず舐めとって飲み下してから、ようやくシンドバッドの唇が離れていく。
 ジュダルを苛んでいた異物が抜き取られて、支えもなくなった身体はずるずると机から落ちていった。
「っはぁ…は…はっ…、………~~~ッぅ……ひっ…ぅ、く……ッッ…うぅ…う~……ッ…!」
 飛びかけていた意識が息を整えていくうちに段々現実感を取り戻しはじめたらもう強がる元気もなくて、ジュダルの目からぶわっと涙があふれる。
 いつもの調子で喚くでもなく、ただぼたぼた涙を落としながら嗚咽をもらしつづけるジュダルを見て、シンドバッドはやっと驚いたようにじわりと目を丸めていった。
「…………ジュダル………?」
 膝を抱え、ぎゅっと肩をこわばらせたジュダルに手を伸ばせば、驚くほどの強さでパンッと弾かれた。
「ッざけんな…!! ッッ……やだって…っやだって言っただろォ…! …っぅ…く、」
「………ジュダル…」
 目元を涙で縁取ったまま睨みつけられて、シンドバッドは跳ねのけられた手がジンジンと熱をもっていくのを感じた。
(こっちの気も知らないで、とか、どれくらい俺が触れたくて、手を伸ばしたいかわかっていないくせに、とか、押し倒したときは考えていたような気がするが)
(さすがにやりすぎたな)
(というか、歯止めが利かなさすぎた)
(そもそも、ジュダルに向ける気持ちをわからないようにしているのは、俺なのに)
(こいつは、完全に“被害者”だ)
「…悪かった。……すまん、ジュダル……」
 暴れられることを承知でうずくまる身体を抱き締めれば、もがくでも引っ掻くでもなくただ肩を濡らしていくものと嗚咽交じりのふるえが伝わってきて、シンドバッドの後悔は一層心に鋭く食いこむことになるのだった。
 
 

 
 
「ほら、お詫びの口直しだ。すきなだけ食ってくれ」
 目の前に詰まれた籐籠いっぱいの桃に、いまだ目の縁を赤く腫らしたままのジュダルはきゅっと唇を噛んだ。
「…………」
 眦にそっと触れたシンドバッドの唇も無視して、ひとことも発さないまま一番上に積まれた桃をひとつ手に取る。
 口を開けば、まだ情けなくふるえる声しか出そうになかった。それに、ジュダルはまだ自分の胸の内をぐるぐると渦巻く感情を整理できずに戸惑っていた。
 考え事をしながら、声を出さなくてもいいように、丸々と太った桃に歯を立てる。口の中に広がるみずみずしい甘さは、渇きを満たすどころか飢えを自覚させるようにもっともっとと咀嚼を急かしてくる。
「………、」
(どうして、)
(なんで、あんなひどいことされたのに)
(…ほっとしてる、なんて)
(いつものバカ殿が戻ってきたから?)
(怒らせたわけじゃないって、わかったから?)
(でも、だって、ほんとなら、あんなことされて、許せるはずないのに)
(……へんなの)
「…ジュダル、すまない」
「ッ………ん、」
 夢中で桃に齧りついていたら、果汁まみれになった口元をぺろりと舐められた。
 それだけでなぜか胸の奥にあたたかいものが流れこんだ気がして、ジュダルはもっと困惑することになったのだった。






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くさってます。Sじみた攻とちょっとばかでかわいそうな受がだいすきです。よろしくおねがいします。

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