二次創作女性向小説置き場
主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受)
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2024.05.07 Tuesday
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迷い猫はしんだふり 2
2012.04.07 Saturday
「はぁー…」
自分の家に戻ってくるのは何日ぶりだろう。
立てこんでいた仕事にようやく目処がついて、シンドバッドはリビングのソファーに疲労を引きずった重たい身体を埋めた。
ネクタイを緩めながらなんの気なしにテレビの電源を入れれば、静かだった部屋に賑やかな声が広がっていく。
(そういえば、あいつがいないな)
ふとシンドバッドがその存在を思い浮かべたタイミングで、背後からずしっと重みが襲った。
「ニャー」
「………ジュダル…」
いたずらめいた笑みを含んだ鳴き声をあげて、ジュダルが上半身の体重をかけてぎゅっと首に抱きついてくる。密着した箇所からふわりと風呂あがりのあまい匂いがして、シンドバッドをどこか落ち着かない気分にさせた。そればかりか、ジュダルはまるで懐いた犬のようにふんふんと鼻先を首裏や耳の後ろに擦りつけてくる。ペットのそれとは違い、背後から伝わってくるあやしい雰囲気に、いやな予感がすると思いながらも疲労が増す現実から逃げたい気持ちが強く、背後をなかなか振り返れないでいたシンドバッドだったが、首に浮いた筋をぺろっと舐めあげられて反射的に身体が動いた。
「ひっ…おま、…お前……!!」
ぺろぺろと何度も舐めてくる舌を払うように勢いよく振り向けば、目に映りこんできたジュダルの姿に説教を紡ごうとしていた口は塞がらなくなってしまった。
「にゃあ」
首にしがみついたまま離れなかったため、間近に迫ったジュダルの頭には、猫耳のカチューシャ。
シンドバッドの目を奪ったのはそれだけではなかった。
「っちょ、こら…!」
懲りずにシンドバッドの耳をぱくっと口に含み、またぺろぺろと舐めてくるジュダルの身体の熱さと、振り向きざまにかちあった瞳の潤み具合。はぁはぁと首にかかる吐息の荒さ。背もたれを乗り越えてシンドバッドを押し倒してきたジュダルの腰は、あからさまにシンドバッドの腹部に押しつけられて。
「っは…シン…っん……、」
まるで本当に盛りのついた猫のようなその姿態にしばらく見入ってしまったシンドバッドだったが、はっと我に返って事態を把握しようとジュダルの身体に目をすべらせる。ジュダルのサイズに合ったスウェットは既に何着か買い与えていたはずなのに、着ているのはなぜかサイズの合わないシンドバッドのもの。そのせいでかろうじて隠れているものの、ジュダルは下を履いていなかった。剥き出しの太股を目にして一体何をしているんだと意識が遠のきかけたが、その足の間に揺らめいた黒い尻尾がそれを許さなかった。
「ジュダル……これは、何だ?」
「っふあ…!」
軽い気持ちでそれを掴みくんと引けば、ジュダルの腰がびくっと引きつってあまったるい声があふれる。
「!? お前、…まさか……」
おそるおそる尻尾の根元を確認するように足の狭間に指を這わせれば、案の定尻尾は尻穴から『生えて』いて。
「っひぅ…、」
試しにずる、と尻尾を少し引き抜けば、ピンク色のアナルプラグが顔を出して、ジュダルが『遊んで』いたのだとわかった。
「…はぁ……」
(妙にこいつがいやらしく見えたのは、このせいか)
そわそわと落ち着かない気分になった原因がちゃんとあったことになぜか安堵したけれど、それで目の前の『問題』が解決するわけもなくて。
「…ジュダル。こんなもの、どこで……、」
ふと湧いた疑問を舌にのせてから、ジュダルが以前いた場所を思い出してはっと息を詰める。
「お前、まさか…『あそこ』から持ってきたんじゃないだろうな?」
こりずに身体をくっつけてくるジュダルを剥がそうと両肩に置いていた手に、ぐっと力をこめて視線を強めれば、ジュダルは呆れたように言った。
「ッ…はぁ~? こんなの、どこにでも売ってんだろォ……っなぁ、いいから、早くぅ…」
はぁ、と熱い息が耳にかかって、押し倒されるような格好になったシンドバッドの腰の上に跨ったジュダルが、剥き出しの尻の狭間をあからさまに股間に擦りつけてくる。
「っ…おい……」
ズボンの布越しに当たってくるジュダルの興奮しきった欲望を感じて、ぞっと肌を撫でてくるのは紛れもなく欲情のふるえで。
それに気づかないふりをするために、シンドバッドはひとつ息を吐くと口元を笑みに曲げた。
「…俺がいない間、一人で十分楽しんだんじゃないか?」
背後に回した手のひらで背骨を辿り、つつと下ろした先にある尻尾をぐっと掴む。
「っは、」
あまく息を詰めたジュダルは、続く刺激に備えるようにぎゅっとシンドバッドの首にしがみつく腕を狭めた。
深々と尻尾を咥えこんだ尻の中を捏ねるようにぐりぐりと動かせば、腰の上の肢体は襲いくる快感に堪えるみたいにきゅうっとこわばる。
「っふあ、あ、んん、ン…――ッ!」
力がこもりすぎてぶるぶるとふるえる肌などお構いなしに、シンドバッドは尻尾をギリギリまで引き抜き、ズズッと奥まで埋めこんだ。
「ぅんっ…? っひ、あぁ…ッッ!」
何度も抽挿する動きを繰り返せば、刺激を敏感に拾いあげこわばっていた内壁はアナルプラグに吸いつくように絡みはじめて、次の刺激を欲するように腰がくねりはじめる。
「っふ、あ、アッ…うぅん…っや、…も…シン~…ッ…は、は、」
抱きついた腕はずっと離れなかったから、涙がこぼれおちそうなくらい潤みきった目をして訴えたジュダルを至近で思い切り視界に入れてしまい、ぐらっと理性がへし折れそうになる。
「っは、も、いいから、いれ、いれて…っこれ、シン、の…ッン、」
しかし、たまらなくなったジュダルがシンドバッドのズボンを寛げようとフロントホックに指をかけたおかげで、反射的にその手を阻止することができた。
「っ…何言ってるんだ。お前の中には、もう入っているだろう?」
ぐっとジュダルの尻から生えている尻尾を掴み、中を捏ねているうちに見つけたジュダルの弱点に狙いを定めてぐりぐりっと何度も擦りあげれば、ジュダルがホックにかけていた手は簡単にガクンッと崩れ落ち、襲いくる刺激に耐えるようにシンドバッドの下腹部に額をぐり、と擦りつけてくる。
「ッひ、ああぁ…ッ! ひぅ、あっあ、やぁ…ッア、そこや、やだ、…っぅうン…!」
いやだと言いながらも、上肢が崩れたせいで腰だけ突き上げる格好になったジュダルは、まるで刺激をもっともっとと欲しがるように玩具を掴んだシンドバッドの手に尻を寄せる動きをして。
「っあ、あ、シン、やあ…な、ん…ッふあぁ…!!」
一度力を失った腕をぐぐ、となんとか立たせて頭を起こし、ジュダルが欲情に目のふちの赤く染まった瞳で責めるように見上げてくる。
「ッッ……」
シンドバッドは空いているほうの手でジュダルの腰を掻き抱くようにぐいっと引き起こすと、自らの腹部でジュダルの熱を扱くように揺すった。密着した身体は当然咥えこんでいた異物にまで振動を与えて、ジュダルの腰が大きくふるえる。
「ひンッ…あっあ、アッ…~~~ッッ!!」
擦りあわさった腹部が、じわりと濡れる感覚。
それを確認すると、シンドバッドは一仕事終えたようなため息を一つ吐いて、ジュダルの後孔からずるりと尻尾型の玩具を抜き取った。
「っは、…んぅ…ッは…、」
腰に力が入らなくなったようにシンドバッドの上にぺたりと座りこんだジュダルの頭をおざなりにぽんぽんと撫でると、そこから猫耳を模した髪飾りも外してしまう。
「ったく……普通に『おかえり』が言えないのか、お前は」
「…うっ……おまえが、ほったらかしにするから悪ィんだろぉ…」
「俺は、お前の性欲処理をするために帰ってきたわけじゃないぞ」
ため息をつきながらそう言いつつも、くったりと寄り添ってくる身体を無理に引き剥がすこともできず、シンドバッドはこれ以上ジュダルが悪さできないようにまだ熱の余韻を残した身体を抱き上げた。
「っ!?」
「………寝るぞ。いいか、前みたいな事をしたらここのソファーで寝かせるからな」
「…はっ!? なんで?? 別にいいだろぉフェラくらい」
「………はぁ…」
噛み合わない会話に説き伏せる気力も失せて、一度抱き上げた身体をソファーに降ろしかければ、シンドバッドの首と腰にぎゅうっと絡みついてきたのはジュダルの腕と足で。
「………っ…」
しがみつくような格好のまま、睨むように、拗ねたようにシンドバッドに向けられる、つよいつよい視線。
(ああ、)
(そんなにわかりやすい目で俺を見るな)
『一緒に寝かせろ』と雄弁に語る目と、がっしりシンドバッドを引き留める手足。
言葉にはしないくせに、全身でそれを表されて、シンドバッドはくらりと頭が揺れるのを感じた。
それは、決して悪くはないけれど、多分に危うさを含んだ酩酊で。
「…………はぁ…」
巻きついて離れないわがままな猫の尻尾に、シンドバッドは帰宅後何度目かのため息を吐くと、諦めたように腕の中の体温を抱え直し、寝室に足を運んだ。
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