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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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ラプンツェルのいのちづな 4(完)
「ラプンツェルのいのちづな 3」の続きです
ジュダルちゃんがしあわせになれますように!
後日談書きたいですおそまつさまでした





拍手[10回]





***







「っぐ、――ッッ…げほ、うぇっ…は、はぁっ…は……、」
 強制的な吐き気に叩き起こされ、ジュダルは思わず寝転んでいた草むらの上にこみあげてくるものを吐き出した。
 のろのろと身体を起こし、近くを流れていた湧水で口を何度もゆすいでも、腹の奥にべっとりと不快感がこびりついていて、こみあげる嗚咽に鳥肌がなかなかおさまってくれない。
「……ッ………?」
(なんだ、)
(具合、わりぃ、のか?)
 眠りにつく前の記憶を探っても特に思い当たる節はなくて、たちの悪い風邪でも引いたのだろうと最初は考えていたジュダルだったが、むかむかといつまで経っても消えない胸の吐き気がそのうち、何かを訴えているようにも思えてきて。
(なんだ?)
(なんか、違う)
(身体がおかしいんじゃ、ない)
(この胸糞悪ィ気分の、正体は)
(もしかして、)
 眠りにつく前の記憶に、“思い当たる節”はなかった。
 ただ、そこには不自然な記憶の途切れ目があった。
 アラジンに真実を見せられてから、わかるようになったその途切れ目。
「………ッ、」
 どくりと苦しいくらいに大きく心臓が鳴る。
 これからしようとしていることを想像して、こわばってしまう身体が情けなかった。
「………、」
 いつの間にか口の中に溜まっていた唾をごくりと飲み下し、大きく息を吐きだしながら、不快感を訴える腹部にそっと手のひらをあてて、ジュダルはその吐き気の根源を探ろうと意識を集中させはじめた。
(俺が、何を見て、何をされたら、こんな気分になるのか)
(考えろ)
(探せ)
(何を、されたら、)
「―――ッッ、」
 ぞくりと背筋が粟立つ。
 ジュダルは、その感覚を掴みとることを躊躇した。
(だめだ、)
(今のうちに思い出しておかないと)
(もう二度と、掴めないかもしれない)
 記憶を失ったばかりなら、取り戻せる確率があがるかもしれないから。
 今手を伸ばさなかったら、本当にわずかで曖昧な記憶の断片を垣間見ただけで怖気づいた自分が、もう一度手を伸ばすことができなくなってしまうかもしれないから。
「―――ッッ!!」
 ひとおもいに引きずり出した生々しい記憶に、さっき目が覚めたときよりもずっと鮮明な吐き気がジュダルを襲った。
「ッぐ、ぅ…~~~っっ!! う、あっ…はぁッ…は、…はっ…、」
 ぴしゃりと胃に残っていた液体をすべて吐瀉してしまっても、身体の中に入っていたものすべてを拒むように臓腑は痙攣を続けた。吐けない苦しさを紛らわせようと何度も口を漱ぐけれど、きれいになったはずの口腔からすぐに苦いものがあふれてくるような感覚をおぼえて胃が引きつる。
(当たり前だ)
(こんな記憶、受けつけるわけがない)
(そうか、でも)
(これか)
(俺がまだ、思い出せてなかったこと)
(そう、か)
 意識はぐらぐらと揺れ、気を抜けば簡単に霞んでしまいそうだ。
 今までと同じようにまた忘れてしまえば、少なくとも今までどおり復讐をおこなうための準備を、組織の中に身を置きながら続けることができる。
 準備はまだ、整っているとはいえない。
 ジュダルは自分の王を、まだ見つけることもできていない。
 でも、もう、耐えられそうになかった。
 たとえ自分の中でなかったことにできたとしても、それは現実に起こっていて。
 そして、これからもずっと、起こり続けるかもしれないのだ。
(もう、どこにも戻れない)
(俺は、一人でも、やるしかない)
(大丈夫、もう弱かったころの俺じゃない)
【でも、俺に王はいない】
(魔法も沢山覚えた)
【でも、俺に王はいない】
(隙だって、つくれる)
【でも、俺に王はいない】
 後ろ髪を掴んで引っ張られるような感覚を振り切って、ジュダルは闘争心だけに目を向け、高めていった。
(全部、ぶち壊してやる)
【でも、それなら、最後に一度だけ】
 それでも振り払いきれなかった最後の自分の声に、ジュダルの目はほんの少し弱々しげに揺らめいて。
「………、」
 観念したような、やるせないような力ない笑みをほのかに浮かべ、ジュダルは絨毯を翻すとそれに飛び乗った。








(黒ルフが頼りなくなるから、とあいつらは言った)
(それなら、)
 ぺたぺたと宿屋の屋根の上を歩きながら、ジュダルは目当ての気配を部屋に見つけてするりと窓から忍びこんだ。
「……ジュダル」
(こいつに会えば、少しは同じ色に)
 忍びこむと表現するにはあまりにも自然に、ジュダルはベッドの上で上体を起こしたシンドバッドの傍らに立っていた。
(ほんと、こんなときに限ってこいつが国の外にいるなんて)
(ツイてるよな、俺は)
「……よォ、バカ殿」
 少しだけ戸惑ったように眉を寄せたシンドバッドがジュダルを窺うように見つめ返しても、その瞳の色はあまりにも静かで、なぜかこちらの心をざわつかせるような力があった。
「…ジュ……、」
 どうした、と聞くより先にジュダルの身体がゆっくりと動いて、それを目で追っているうちに、青年はシンドバッドの横にもぐりこんでいた。
「……ッ…ジュダル……?」
 もぞもぞと寝具の中で体勢をととのえると、ジュダルはその温かさに感じ入るように目をとじた。
「…おやすみ」
「………???」
 困惑しきった視線が瞼の裏に突き刺さるのがわかったけれど、それでも寝息のようにゆっくり呼吸を繰り返せば、そろそろと頭にあたたかなものが触れて。
 優しく、頭のてっぺんがかき混ぜられるような感触。
 身体に入っていた力が、すっかりほどけていく。
 偽りの漂白でもいい。
 黒くなければ生きられないのなら、いっそ消えてしまっても構わない。
(俺は、お前がそこにいればいいんだ)
(だから、最後に一度だけ、この腕の中で)
(きれいなものに、なれたら)
 そんな夢が見られたら、しあわせだと思った。
 それがしあわせだと、言い聞かせた。
(俺と一緒に、なんて、もう言えない)
(たすけてなんて、もっと言えない)
 だからせめて、今夜だけは静かに眠りたかった。
 手のひらから伝わる温度がすべてで、それ以上も以下も求めることなく、ジュダルはその穏やかな夜にうずもれて眠った。




***




「これはこれはマギ殿、……おや」
「おや、これは」
「あまりよくない傾向ですね」
「おそらく、先刻の“改訂”が不完全だったのでしょう」
「これも、あのソロモンの代行者の影響なのかもしれませんね。さっそく我が父の力を借りなくては」
 ジュダルの姿を一目見るなり、組織の幹部たちが色めきだつのがわかった。
「……? 何わけわかんねーこと言ってんだよテメーら……俺が、なに?」
(やっぱり)
(シンドバッドに会って、正解だった)
 どうやら、少しはきれいなものに近づけたらしいと知って、口元に笑みが浮かぶのをまだ早いと抑えこみ、ジュダルは知らない振りを続ける。
 予想していたとおりの彼らの反応に、これからしようとしていることを思えばぞくぞくと興奮がジュダルの背筋を撫でた。
(全部、ぶっこわしてやる)
(そのために、あいつに会ったんだから)
“改訂”の儀をはじめようと、組織の人間が集まりはじめていた。
(まだだ)
 自覚はないが、今の自分は相当彼らにとって由々しき事態になっているらしい。周囲を取り巻く者たちはわずかに焦りを滲ませた様子で、ジュダルの四肢に手を伸ばした。
「…!」
(まだ、あと少し)
 触れられただけでぶり返す記憶を、頭のおかしくなりそうな不快感を、ふるえだしそうになる恐怖をふるい落として、時が来るのを待つ。
 ジュダルは、最後に一度だけと言い訳してシンドバッドに会った。
 ルフの白く染まりかけた自分を、餌にするために。
(大丈夫、何が起こるかわかっていれば、ヘマなんてしない)
 形ばかりの抵抗を繰り返しながら、戦力になりそうな幹部が揃ったのを確認して、ジュダルは用意していた大魔法を発動させた。
 今までの怒りと憎しみ、呪いをこめて、破壊を望んだ。
「なっ――――!?!?」
「ッッぜんぶ、全部ぶっ壊れちまえ――――!!!」
 とっさに防御壁をつくりだす者、反撃を試みる者、逃げ出す者――ジュダルはそのすべてを目に留め、壊すことに全力を注いだ。
(こいつらだけは、絶対に許さない)
(俺が、この手で、一人残らず、全部全部、ぶち壊すんだ)
 奇襲を食らった組織の被害は、目に見えて甚大だった。
 反撃はもちろん繰り返されていたが、力は拮抗していた。
 この身がすり減るまで力を注げば、五体満足とはいかなくても、組織に致命傷を与えることができると思った。
(これなら、いける)
(一人でも、マギまるごと一人分振り絞るんだから、そうでなきゃ、困る)
 攻撃の手を強めた、そのときだった。
「――お前の弱点なんて、ずっと一緒にいた私たちが知らないはずないでしょう?」
「ッ!?」
 不意に背後から囁いた声。
 鋭い刃物を突きつけられたような感覚を振り切るように、魔法を打ちこんだ時は既に遅く。
「あ……、」
 ぶつりと、鈍い音と少しの衝撃。
「いのちづなは、崖に立たせて初めて、断ち落とすものですよ?」
 まだ、それが自分から離れていくことを理解できない。
 振り返りざま、ジュダルの視界を横切ったのは、長く編まれた漆黒の髪だった。
 目の前で、それが塵になってさらさらと消えていくのを見送ってから、ジュダルはやっと首の後ろに手をあてた。ぞっと肌を撫でたのは、絶望的な喪失感だった。
「~~~ッッ!!!」
(やだ、)
 ずっとずっと、その綱にしがみついていた。
 それさえあれば、ひとりでも、何があっても思い出せると思った。
(これまでなくしちまったら、俺は)
(何もかも、忘れちまうかもしれない)
 そう考えが及べば、ジュダルの惑乱した頭が『もし、忘れてしまったら』から『きっと、忘れてしまうに違いない』に認識をすり替えて、恐慌に陥るのは時間の問題だった。
(シンドバッド)
 彼と同じ色になれるのなら、消えてもいいと思った。
 でも、今の自分がばらばらに解体され、なくなるかもしれないと思えば、もうなりふり構ってなどいられなかった。
(シンドバッド、)
 ここでひとり、戦い続けることなんてできない。
 ジュダルがとっさに唱えた魔法は、一直線にシンドリアへと飛ぶ移動の呪文だった。
(早く、行かなきゃ)
(はやく、はやく)
(俺が、全部忘れる前に)
 張り巡らされていた結界を、戦うために溜めこんでいた魔力を使い切ってバリバリとこじ開け、なりふり構わず王の間へ降り立つ。
「なっ…、ジュダルッ!?」
 ふわりと床に足をつければ、うまく着地できずにがくんと膝が折れる。
 見るからにボロボロのジュダルを見て、不法侵入者を待ち構えていたシンドバッドは目を見張った。
「ッ…は、……シンド、バッド…」
 とげとげしく攻撃的な、錯乱したルフが、シンドバッドの姿を見とめた途端、一瞬で泣きそうなそれに変わる。
 慌ててその身体を抱き留めれば、張りつめていた糸がぷつんと切れたかのように腕の中の肢体はずしりと重みを増した。
「ジュダル…、」
 こんなに無防備な青年の姿を、シンドバッドは見たことなどなかった。
 力をなくした身体。
 その小さな頭を支えるように、容体を確認するようにぐるりと撫でれば、慣れ親しんだ感触がなくなっていることに気づく。
(……錯乱の原因は、これか?)
「…………」
 腕の中ですべてを預けている青年を目に映しながら、シンドバッドはある考えと決心を固めようとしていた。
 それは、ジュダルの様子がおかしいときから、ずっとずっと考えていたこと。
(今なら)
(今なら、俺は)
 シンドバッドはごくりと喉にわだかまっていたものを飲みくだすと、傍らに控えていたジャーファルに目くばせした。
「……すまんな、ジュダル」
(なんと思われてもいい)
(あの夜も、今このときも、ここに来たお前が、ここですべてを預けたお前が悪いんだ、ジュダル)
 シンドバッドはジュダルの身体をしっかりと抱き直すと、ジャーファルに伴われて現れた人物に頭を深く垂れた。
「……アラジン、頼む」
 彼ならば、ジュダルを救うことができるのではないかと思った。
 ジュダルの堕転がもし、アリババにかけられた呪いと同じようなものだとするならば。
(まだ、光はある)
 ルフに愛されたマギはこくりと頷くと、ジュダルの額に小さな手のひらをかざした。











『シンドバッドおじさん、彼の中には、おじさんが行ったほうがいいみたいだ』
『ぼくが手伝うから、行ってきておくれよ』
『呪いの巣は、ぼくがなんとかしておくから。ジュダルくんの中にずっとあったものだから、取り除くとき、彼自身も無事ではすまないかもしれない。だから、おじさんに、傍にいてあげてほしいんだ』
『おじさんならきっと、ジュダルくんを連れて帰ってこれるはずだから』
 アラジンに導かれて、シンドバッドはジュダルのルフの中に入りこむことができた。
 ジュダルの姿を捜し求めているうちに、シンドバッドの身体の中を、彼の断片的なルフが通り抜けていく。
 ある時は、ジュダルが生まれたときの。
 ある時は、ジュダルが堕転したときの。
 さまざまな記憶の断片が、シンドバッドの内部に流れこんでくる。
「……!」
 最近の記憶もあった。
 ジュダルが寝屋に潜りこんできたときのこと。
 どうしてあんなにきれいな目をしていたのか、それが今ジュダルが満身創痍の理由と繋がっていることを知り、怒りのあまりくらりと眩暈がした。
(こんなに近くにいたのに、なんで今まで気づけなかったんだ)
(こんなものを、ずっとひとりで、物心ついたすぐ後から、なんて)
(マギという特異な存在では、なおさら)
「…………ジュダル、」
 彼は、そこに座りこんでいた。
 東方の民族衣装に身を包んだ人物が二人、彼に何やら語りかけている。
 それが、さきほどジュダルの出生の記憶に見た両親の姿だと気づいたところで、ジュダルが不意にこちらを振り返った。
「……ジュダル」
 思わずその名を呼べば、ぴくりと何かを恐れるようにジュダルの肩が跳ねる。
「帰ろう」
 ジュダルの前に膝をつき、シンドバッドはだらりと下がった彼の手のひらを掬いとって、しっかりと握った。
 青年の頭をさらりと撫でれば、なかったはずの長く黒い髪がきちんとそこにあって、彼が必死にそれを取り戻そうとしているのだとわかった。
 ジュダルがなぜ髪を切られただけであんなに我を失ったのか、彼の中を通り抜けてきた今なら、シンドバッドにもわかる。
「……ジュダル。もう、お前に何も、忘れさせたりしないよ」
 気づけなくて、すまなかった。
 髪を梳いていた手でジュダルの身体を抱き寄せ、そう悔恨の声を続ければ、腕の中の肌がわずかにふるえた。
 それは泣く寸前のような、怖気づくような、感情の奔流を抑えこんでいるようなふるえだった。
 ふと傍らに視線をやれば、ジュダルを見守るように両親のルフが佇んでいた。
 シンドバッドはジュダルの視線をそちらに向かせるようにして、穏やかに笑みを浮かべる彼らから感じとれる確信のようなものを、そのままジュダルに伝えようとした。
「……人は生まれながら役目をもっている、それを運命と呼ぶ人もいる。でもその役目は祝われるべきものであって、呪うものじゃない。――お前の親は殺される運命だったんじゃない。お前を産む役目を、しっかり果たしたんだ」
「~~~~ッッ…!!」
 そっとジュダルの頭を今一度撫でれば、堰きとめていた感情があふれだしたかのように、シンドバッドの背中に爪が食いこむほどにつよくつよくしがみついてきた。
 シンドバッドを欲する心を偽らずに解き放てば、ジュダルがそこから指を外せるわけがなかった。
 本当は、ずっとずっと手を伸ばしたかった光。
 手を振り払われたくなくて、存在を確かめるだけでいいと言い聞かせて、押し殺しつづけてきた思いは、受け容れてくれるかもしれないと知った途端にこんなにもコントロールがきかなくなってしまった。
 声にならない泣き声をあげて、身体を大きく揺らして、ジュダルは激しく泣いた。
 慟哭を繰り返すたび、黒く濁ってざわついていたはずのルフが、少しずつ透きとおっていく。
「ジュダル。俺たちの役目を果たしたら、祝おうか」
 短くなった黒髪を慈しむようにぐるりと撫でながら、シンドバッドが優しくジュダルに話しかける。
「お前が生まれてきたことを、祝おう。ジュダル」
「ッ……おれたちの、役目……?」
「お前が、俺と、したかったことだ。……ずっとずっと、前から」
「!」
「復讐でも、世界征服でもないぞ? 落とし前を、きっちりつけるだけだ。もう二度と、お前みたいな目に遭わされる人間を、つくらないために」
 一緒に戦おう、とシンドバッドは言った。
 ジュダルの答えなんて、決まっていた。
 それはもう、ずっとずっと昔から。
「力は、有り余ってるんだろう?」
「ッッ……うん!」
 ジュダルが大きく頷くと、シンドバッドもまた涙が喉に詰まったような笑い方をして、彼の両手をしっかりと握り締めた。
 いのちづなは今、その両手にしっかりと託された。
 ひとりで編んだそれよりも、もっと確かで、もっと寄りかかることのできる場所。
「シンドバッド、」
「ん?」
「――いや、やっぱ帰ってから、言う」
「なんだ、気になるじゃないか。……もしかして、目が覚めたら夢なんじゃないかとか、思ってるんじゃないだろうな?」
「…………、」
「よし、さっさと戻ろうか。……ああ、でも、これくらいは、しておきたいな」
「……?」
 首を傾げてシンドバッドを見上げたジュダルに、少しいたずらっぽく笑った男が唇をそっと触れ合わせてきた。
「っ…!」
「ルフ同士でなんて、めったにできないだろう? 心配しなくても、戻ったらお前が呆れるくらい、する自信があるぞ」
 冗談めいたそのセリフが、どれだけジュダルの心を掬いあげているのか、シンドバッドは気づいているのだろうか。
「……バカ、」
 泣き笑いの混じった悪態しか出てこなくて、これではバレても当然かと思ったけれど、隠すものなんてもうなかったから。
 ルフが外の世界に引き寄せられるようにさざめくなかで、ジュダルは自分からシンドバッドの首に腕を回し、唇をしっかりと重ね合わせた。








END.



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くさってます。Sじみた攻とちょっとばかでかわいそうな受がだいすきです。よろしくおねがいします。

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