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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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やってみなけりゃわからない! 5(完)
続きを書いてみました
4あたりからすっかりシンジュのターンですが本編にがっつり炎×ジュ×夏表現あります3P注意です
いつだって当たり前のことを教えるのが一番むずかしい!ということ^-^



拍手[15回]


***







「ッ……、…」
 はー、はー、と押し殺しきれない自分の吐息が耳に障る。
 そんなジュダルの吊りあがった眦をゆっくりと撫で続けていた男が、ふと口を開いた。
「……確かお前は、紅炎のほうがいいと言っていたな?」
「ッ、」
 その名前を出されて、ジュダルの肩がびくりと引きつるのをシンドバッドが見逃すはずもなく。
「――――言え」
 ぴたりとこめかみを撫でていた指の動きが止まり、耳孔をふるわせたのは重たく凄みのある低音だった。
「あいつに、何をされた」
「――――、」
 熱に浮かされたような快感に身体をひらかれていても、ジュダルは吐息を漏らしていた唇を今一度ぐっと噤んでその問いを拒んだ。
「…………」
 それを見たシンドバッドは理解しがたいものを見たときのようにほんの少し目を眇めると、優しく触れていたはずの手のひらをすすと淀みない動きでおろしていき、両腕を後ろ手に拘束されたせいで少し反らし気味になっているジュダルの胸の尖りを親指の腹でぐり、と優しく擦りあげた。
「あッ…!?」
 腰の奥に灯った熱がじわっと融けるような不意打ちの快感に、がくんと膝が落ちかける。
「っひ、ぅんん…ッは、うぅ…っ…!」
 すんでのところで持ち直したものの、硬くなったそこをこりこりと揉みほぐすように刺激され続けて、ぶるりとふるえた膝から徐々に力が込められなくなっていく。
「っうぁ、や、ッく…ん、ンッ…~~~!」
 体勢を立て直そうと足に力を入れようとしても、それを許さないというように乳頭が摘ままれ、指先でくにゅくにゅと揉み転がされて、全身の力が抜けてしまいそうなほどの気持ちよさにすべてを任せてしまいたくなる。
「は、ッう、あ…っく…!」
(くるしい)
 それを拒まなければと思うから、こんなにもつらいのだと、わかっているのだ。
 でもやめられなくて、身体を蝕む指先の体温はジュダルの肌をあまく痺れさせて、そうやって伝わってきた男の温もりを感じてしまえばジュダルの中の脆い部分が顔を出すのは時間の問題だった。
「…~~~ッ…!!」
(もう、やだ)
(なんでお前にまで、こんなことされなきゃいけねーの?)
 眼球の表面をぷくりと覆った涙はほどなくしてぼろっと目の縁からこぼれ、次から次へとあふれていく。
「ッひ、う…っ…うぅ…~~っ…んな、ンなの、…ッい、いえるわけ、ないだろぉ…~~ッッ…!」
 一度はじまってしまえばくしゃりと歪んだ唇からは情けなく震える声があがって、嗚咽が止まらなくて、ひくひくとしゃくりあげはじめたジュダルにシンドバッドは慌てたようにその雫を指で掬いとりながら、何か思いついたように真剣な眼差しで訊いてきた。
「おい、まさか、……無理やりされたのか」
「ッッ…、」
 その問いに、ジュダルは頷くことができなかった。
(違うけど、違わない)
(それに、そんなこと、どうだっていい)
 何よりそれに答えることに、意味を持たせたくなかったのだ。
 ただ、本意がどうであれ、ジュダルはその伝え方を間違えた。
「ッ…お前に何されたか教えるくらいなら、…っ…もっかいおんなじ目にあってきたほうが、ずっとマシだ」
 ぐずぐずの涙声で強がるように絞り出したそのセリフは、彼の心のうちを表すには的確だったのかもしれないが、言葉の選び方も、発言したタイミングも、これ以上ないくらい悪かった。
「…………ほう」
 それを耳にした男の視線が、すっと温度を下げる。静かな声がしたかと思えば不意に男の両手が伸びてきて、がっしりとジュダルの頭を摑んだ。
「っ!?」
 視線を下げられないよう両のこめかみをしっかり押さえつけられ、至近で怒りを湛えたぎらぎらした瞳に縫いとめられて、ジュダルはその唇がゆっくりと開かれるのを呼吸も忘れて見ていることしかできなくて。
「それならなおさら、お前の口から聞きたいな」
 じわじわと息の根を止めるように、一言一言噛んで含めるように告げられれば、快楽にふやけた頭でも理解することなんて容易だった。
「ッッ…!!」
「あいつに何をされたのか、――――言え、ジュダル」
 有無を言わせない、命令者の声音。
 シンドバッドは、あえてジュダルに過酷なほうを強要しているのだ。
 そう思い知らされれば、男の怒りをまざまざと感じてぞくんと背筋を冷たいものが走った。
(こわい、やだ、言いたくない、でも、)
 至近の視線に曝されたまま、隠す余裕もなくゆらゆらと揺れはじめたジュダルの目をじっと見つめていたシンドバッドだったが、組み敷いた時からずいぶん虚勢が剥がれ落ちているようだと気づいてふっと視線を緩めた。
(ん、ちょっと待て)
「……ジュダル。そんなに何をされたのか、俺に知られたくないのか?」
 見方を変えてみようと問いを変えれば、可哀想なくらい素直にこくこくと首肯が返ってくる。
「…どうして?」
 しかし、そこまで踏みこめば、陥落間際の唇はきゅっと結ばれてしまった。
「……ッ、」
(言えるかよ、)
(こわい、なんて)
 依然としてひらかされたままの身体は熱をもっていて、ジュダルの思考回路までもとろ火で炙っていた。思考は溶けだして肌や目元に現れ、それを間近で目を凝らしていたシンドバッドが拾いあげられないはずもなかった。
「……ジュダル、」
 これ以上ジュダルの思考を怯えで滞らせないように、穏やかな声で問いかける。
「俺に、何をされるのがこわい?」
 唆すように優しく、分厚い手のひらで濡れた頬を撫でながら尋ねれば、ジュダルは答えを想像したのか傷ついたように瞳を曇らせた。
「…ッッ、」
 痛みに堪えるようにぎゅっと食い縛られた唇。
 それだけで、シンドバッドの怒りをほどくには十分だった。
(そうか、)
(ジュダルは、俺に傷つけられるのがこわいのか)
「……ジュダル。教えてくれないか? お前が、何をされたのか」
 温かみのある声は、自然と口からすべり出ていた。
「ッ……ぜってー、ヤダ」
 優しくなった途端に頑なになったジュダルを見ても、シンドバッドは口元が緩むのを必死に堪えるほどに機嫌が直っていて。
「…質問を変えようか、ジュダル。――――お前がされたことは、大体察しがついた」
「!」
 それでも相好を崩さないのは、まだ確かめたいことがあったからで。
 びくりと一層こわばった目元をじんわりと撫でながら、口の中で一度あたためた問いを丁寧に声に出した。
「では、それを、俺が他の誰かにすると言ったら?」
「……えっ…?」
 熱にぼやけた頭で、ジュダルはついそれを想像してしまう。
(シンドバッドが誰かを暴いて、そこに、傷を)
「ッ……やだ」
 ふるえる唇から飛び出たのは、自分でも驚くほどきっぱりした拒絶の言葉で。
(俺以外にシンドバッドが触れて、俺だって耐えられないことをそいつにして、そいつが傷つけられるなんて、そんなの、)
(そんなの、)
(そんなこと、されるくらいなら)
「っ……して、」
「…ん?」
「ッッ…、…っ……それなら、俺にして」
 頬を撫でていたシンドバッドの手のひらに、猫のようにジュダルが自分から頬をすり寄せる。
 その頬が未だ青ざめてかすかにふるえているのを手のひらで感じて、シンドバッドは胸にこみあげるものを覚えた。
「…っ…、」
(なんだ、)
(教えるまでもなかったじゃないか)
(こいつは、答えをちゃんと持っていた)
(傷つけられることをおそれて青ざめていても、その唇は今、はっきりと俺を欲した)
 死にそうな声で。
「……っ…ぜんぶ、俺にして」
 今にも殺されそうな心を、ジュダルはシンドバッドの目の前に差し出したのだ。
「ッ……ジュダル…、」
 青白い肌に血を分け与えるようにシンドバッドが唇を触れあわせて、優しく吸いあげた。
「っ…ん、」
「……何をされたのか、全部、お前の口から教えてくれるな?」
 何度目かのその問いに、観念したように頷いた小さな頭。
 そのつむじにシンドバッドが唇を落とすのと、ジュダルから見えなくなった彼の口元があまく綻ぶのはほぼ同時だった。






***




「っは、あぅんッ…! ん、ンッ…あ…~~~ッッ!!」
 揺さぶられる度に繋がった箇所がきゅうきゅうと熱く蠕動して、すっかり抑えられなくなった嬌声がジュダルの唇からあふれていく。
 ジュダルの片膝の裏を掴み、後ろから抱くような体勢をとったシンドバッドが、ジュダルの耳たぶに唇を押しつけるようにして低くあまめの声で囁いた。
「ッ…ふうん、それで? 突っこまれて、漏らしたんだな?」
「ッッ~~!」
 たった今白状した内容をはっきりと口にされて、ジュダルの肌がきゅっとこわばる。何かに耐えるように抱えあげられた爪先が丸められたけれど、男のものを深く咥えこまされただけで歓喜に張り詰めていた陰茎を無骨な手のひらでやんわりと握りこまれてゆるゆると扱かれれば、ジュダルの肌は再びどろりと快感の熱に融けていった。
「っふあ、んん…ーっ…! ひ、アッ…!?」
 そのまま少しずつ親指の腹で蜜をこぼす先端をぐりぐりと苛めていけば、やっとシンドバッドの意図に気づいたらしくみるみるうちにジュダルの目が丸く見開かれていく。
「あっやだ、や、っひう、ん、んーッ…!!」
 今更逃げようともがいても繋がった秘所も掴まれた膝裏もそう簡単にほどけるはずがなく、わざと蜜口をきつめに揉みほぐすように刺激され続けて、強くなっていく刺激から逃れるようにジュダルの腰がびくびくと跳ねあがった。自由なはずの片足もシーツの上をいやらしくうねり、皺を刻むことしかできなくて。
「っや、そこやぁだ…ッン、ん~~…ッッ!」
 むずかるように涙声で訴えて、必死に襲いくる生理現象を堪えようとするジュダルの姿を見て、シンドバッドの口元にあまい苦笑が浮かんだ。
(甘く見られたもんだな、)
(こんなことで愛想を尽かす程度だと思われていたのか)
(それとも、)
(それほど俺に愛想を尽かされるのが、こわいのだとしたら)
 早く、怯えた肌をあまやかしてやりたい。
 それと同時に、まだ完全に鎮まったわけではない嫉妬の念から、断罪を長引かせたいという気持ちもシンドバッドの中には確かにあった。
(あまやかすのも簡単だ)
(責め続けるのも簡単だ)
(でも俺は、こいつを愛したいから)
「…ジュダル」
「っは、だめ、やだ、あ、あ、」
 あまい声で、優しい責め苦を与えながら、何度も何度も頭の中で考え抜いた言葉をとろりとその耳に流しこんでいく。
「お前が、自分で選んだんだろう?」
「~~ッひぅ、く、うぅ…~~っ、」
 そのセリフがジュダルの耳に染みこんでしまえば、わずかな抵抗の動作さえ、少しずつ力をなくしていく。
「これも、そしてその先も」
 その反応に湧きおこる歓びを抑えこみながら、シンドバッドは慎重にジュダルに声を与え続けた。
「ジュダル、」
「あ、ひっ、んん、ん~~っ…!」
 限界が近いことを知らせるように細かく引きつりはじめた腰を確認しながら、刺激され続けてはくはくと小さな口を開けはじめた尿道をゆっくり揉みこんでいく。
「こんなに恥ずかしいことでも、他のやつにするなら俺にしろって思うか?」
「ッうん、んっ」
 その問いだけは逡巡する余地などまったくないというようにこくこくと頷かれて、シンドバッドの胸にカッと灼けるような熱が広がった。
「っ…そうか、」
 昂ぶった声を知られないように一言だけそう呟くと、ジュダルの腰奥を突きあげながらシンドバッドは掌中に収めたペニスの先端をぐりぐりっと指の腹で抉った。
「っひう、ぅ…~~~ッ!! っふあ、あ、あ~~…ッッ!!!」
 膝裏を掴まれて大きく広げられた足の間から、堪えきれず溢れた液体がひゅくっと弧を描き、シーツに落ちたそれがじわじわと辺りを濡らしていく。
「ッッ…あ、…あ……、」
 悦楽と、解放感と、絶望感とがせめぎ合って、それらが胸の内からあふれでるとともに、ジュダルの身体はすうっと指先から冷えていく。
 現実感が戻るにつれてジュダルの脳裏に反芻されたのは、たった今さっきまでのシンドバッドの言葉。
『お前が、選んだんだろう?』
『これも、そして、その先も』
 ぎゅっと胸が軋むような痛みを覚えて、ジュダルの眼球が熱く潤む。
「…ッッ、」
(その先って、もしかして)
(やっぱり、傷を、つけられるのか)
 何を言われるのか、どんな言葉で罵られるのか、痛みを与えられるのか、想像するだけでばくばくと心臓が嫌な音を立ててわめきはじめて、思わずぎゅっと身構えたジュダルの身体をシンドバッドが正面から抱き直してくる。
「ジュダル、」
 ジュダルに向けられたのは、真っ直ぐな視線だった。
「他のやつにするなら、俺にしろ。――たとえそれが、どんなことでも」
 重なった視線があまりにも温かく真摯だったから、ジュダルはその言が何を指しているのかすぐにわかって、みるみるうちにその瞳は見開かれていく。
「――!!」
(俺は、)
(俺は、俺がされたくなかったことを、こいつにしてたのか)
 他の誰かと深く触れ合うなら、傷つけるくらいなら、自分にしろとジュダルは言った。
 でも、その前にジュダルがそれをしてしまったのだとしたら、シンドバッドがあんなに怒っていたのもわかるような気がした。
 じわじわと自分のしでかした事の過酷さが身に染みてきて、ジュダルは泣きそうな顔でシンドバッドを見上げた。
「ッ……シンドバッド、…っごめん」
 今度こそ何をされても仕方ないとすっかり萎れてしまったジュダルを見て、シンドバッドは感極まったように目元を赤く染めてぱっと笑った。
「っ…よかった」
「……っ…?」
 まったく身に覚えのないシンドバッドの歓喜の表情に首を傾げたジュダルを、辛抱堪らないというようにぎゅうっと抱き締めて、安堵の息を吐き出すように男は続けた。
「お前にちゃんと、教えることができた」
 やっと言える、と小さく呟いて、シンドバッドは優しくジュダルの頬を手のひらでこすりながら少し上擦った声で告げた。

「俺はお前を、愛しているよ」

 感情が昂ぶったような赤い目がかちあったまま、唇が触れあって、顔中にキスが降らされて、そうしてからやっと現実感がジュダルの身体を熱いもので満たして、それはほろほろと勝手に瞳からあふれていった。
「っ…? …、ッ……??」
 首を傾げながら涙をこぼし続けるジュダルをあやすように抱き締めながら、シンドバッドはあまりにも己の心の機微に疎すぎる愛しい人にさて、どこから教えたものか、としあわせすぎる悩みに頬を緩ませた。






END.
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