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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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「フルエルオモチャ」サンプル
夏コミで発行予定のお化け屋敷デートシンジュちゃんです
なんだかんだいっていちゃいちゃしてるだけ
怯えるジュダルちゃんかわいいよね~って本です
通常運転で覇王が最低です^▽^
どんとこい!という心の広い方はまずはサンプルからどうぞ!

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 多忙なシンドバッドがもぎ取った休日は、ジュダルの強い要望で決定した。
『シンドバッド、俺ここ行きたい!』
 そう言ってジュダルがリビングのテーブルに広げたのは、とある遊園地のパンフレットで。
 そこは、『チキンハート・クラッシャー』『逆さ吊りコースター』『阿鼻叫喚』などの絶叫アトラクションをウリとしていて、遊園地にしては巷のデートスポットというよりも、若者の度胸試しの場として挙げられることが多い場所だった。
 目的地に着くなり絶叫系の乗り物を乗り回し、とった休みが平日ということもあって、二人は午後も早々にすべての絶叫コースターを攻略してしまった。
「っはーやっぱり空飛ぶのって楽しいな! あのてっぺんから落ちる時のゾクゾクする感じ、たまんねェ~! なあシンドバッド、これ食ったら次どれにする?」
 名物の『チキン・ハートチュロス』にかじりつくジュダルと並ぶように歩いていたシンドバッドは、ふとある建物に目をとめて指を差してみせた。
「なあジュダル、今度はアレにいってみないか?」
「んっ? なンでもいいぜ…え、」
 上機嫌のジュダルがシンドバッドの示す方向を振り向いた途端、急に弾んだ声が不自然に途切れた。
 二人の視線の先は、敷地の中で異様な雰囲気を醸している鬱蒼と茂った木々の間から覗く、古びた日本旅館風の建物で。
「…おい、あれ乗り物じゃねーじゃん」
「ん? よく知ってるじゃないか。アレは自分で歩くタイプのやつらしいぞ」
「ゲェっ…やめやめ、それよりもっと楽しいモン乗ろうぜぇ…あ、俺逆さ吊りのやつもっかい乗りてェ!」
 一瞬顔を歪めたジュダルだったが、すぐに気分を切り替えたようにシンドバッドの肘を掴んで身体の向きを変えさせようとした。しかし、ニヤニヤと意味ありげな笑みでジュダルの顔を覗きこんできたシンドバッドに、思わずむっと唇が尖る。
「……ンだよテメー、その顔は」
 シンドバッドはジュダルを苛立たせるその笑みを貼りつけたまま、自分の顎をするりとひと撫でして一人頷いた。
「そうか、こわいのか」
「…はァ?」
 知らず鋭い目になって睨みつければ、シンドバッドはその視線を挑発を含んだ強い光で見つめ返してくる。
「…ゾクゾクするの、好きなんだろう?」
「!」
 一瞬動きを止めたジュダルの背に手を回し、シンドバッドはずんずんホラーじみた建物に足を進めはじめた。
「えっちょ、はッ!?」
「そろそろ涼みたくなってきたし、丁度いいじゃないか」
 縺れそうになる足のまま引きずられ、どんどん近づいていくひやっとした空気に、足を踏ん張るのも大人げない気がして、ジュダルは平然を装ってみせた。
「っ…べ、別にいいけどな、別に…、」
 明らかに様子のおかしくなったジュダルを目にして、シンドバッドは頬が緩むのを止められそうもなくて。
(これは、いいものが見れるかもしれんな)
 すっかり大人しくなった恋人の肩を抱き、シンドバッドは胸の内が密かに弾むのを感じていた。
 
 
 
 お化け屋敷に入ってからのシンドバッドは、悪魔だった。
「ヒッ」
 コロコロ、コロコロ、と人間の喉が鳴った時のような音が、不自然なくらい断続的に聞こえてくる。その等間隔に与えられた音の不気味さに少し慣れたと思った瞬間、歩いていた廊下脇の襖からバリバリッと腕が突き出てきて、ジュダルは思わず悲鳴を喉に詰まらせ傍らのシンドバッドの服を掴んでいた。足を止めてしまったジュダルに構わず、シンドバッドはペースを乱すことなくどんどん先に進んでいって、ジュダルはこわばりかけている足を悟られないようにそれに歩幅を合わせるしかなくて。
「っちょ、お前、歩くの早くねェ? …まさか、お前、怖いんじゃ…」
 文句にかこつけて発した挑発の言葉は、最後まで紡がれることなく前方から聞こえてきたドドド、というけたたましい足音のせいで途切れた。反射的に音のする方を向けば、木造の廊下を軋ませて尋常ではない速さで四つん這いの女が駆けてくるところで。
「ギャ――!!!」
 今度こそなりふりかまっていられずシンドバッドの腰にぎゅうっとしがみついたジュダルだったが、相変わらず歩みを止める気配のないシンドバッドに、耳の横を通り過ぎていった轟音への安堵も忘れてただ腕の中の存在に縋りつく。
(おい、こんなこわいなんて、聞いてねーぞ)
(いや、聞かなかったけど)
(だって、思うわけねーじゃんこんなこわいなんて)
 幽霊屋敷はジュダルの想像していたものより遥かに不安を煽ることに長けていて、建物や小道具、スタッフも十分すぎるくらいにその役目を果たしていた。
 足を踏み入れて数分で強がったことを後悔しそうになったジュダルだったが、ちかちかと光る脱出口への誘惑にシンドバッドの前で負けるのだけは嫌で、それでもなかなかシンドバッドの腰に回した腕が外せないまま、なんとか進んではいたのだが。
「………、」
 すっかり口数の少なくなってしまったジュダルを見て、シンドバッドの口端が少し持ちあがったのを、ジュダルは知らない。
「…ッひ…!?」
 ぞわぞわぁっと腰を撫でた人の手の感触に、びくんとジュダルの身体が跳ねる。さわさわと蠢いた手のひらの動きにはよく覚えがあって、ジュダルは安堵と怒りが綯い交ぜになったせいでじわりと熱くなった眦を感じながら隣人を睨みあげた。
「ッッてっめェェ…何してンだよッ!!」
 色々ぎりぎりだったせいでジュダルの我慢の糸はぷつんと切れて、振りあげた拳でがつんとシンドバッドのこめかみを殴りつけた。
「!! ッ痛……それだけ元気があるなら、問題ないな」
「え、」
 見事にジュダルの打撃を食らったシンドバッドは、打たれた頭を押さえて一瞬身体をぐらつかせたあと、くるりとジュダルに背を向けてさっさと先に進みはじめてしまう。
「え、おい、待てよ、おいッ…!!」
 向けられた背中を見るとすとんと血の気が下がって、ジュダルは慌てて駆け寄りシンドバッドの腰に体当たりするように抱きついた。
(だめ、むりむり、今こいつにいなくなられたら困る)
 引きずられるのを覚悟して強い力で引き留めたのに、今度はまったく動かなくなってしまった男に疑問を覚えて顔をあげれば、こちらを向いたシンドバッドの顔はお化け屋敷に入る前と同じようにニヤついていて。
「!!!」
 本能的にしまった、と思っても、しがみついた手を離せないでいるうちにシンドバッドの手がするりとジュダルの肩を抱いて、並んで歩くような格好になる。歩みは再開されたものの、肩に回された手のひらはすぐに腰に降りてきて、脇腹を撫でるように妖しく動きはじめた。
「ひ、…ッおい、やめろよテメ…!」
 次は何がどこから来るのかと肌をピリピリさせているせいで、Tシャツの上から少し強く指で撫でられただけで、ぞくぞくっと腰から背筋に駆け上る悪寒をいつもより鋭く感じてしまう。
「っは、クソ、やめろよォ…おおおぉぉ!?!?」
 もそもそと身体をよじってシンドバッドの手から逃げながら、咎めるように隣人へ視線を上げれば、男の後方からぶらりと垂れ下がる女の長い髪が静かに揺れているのが見えて、ジュダルは思わず逃げていたはずの男の腰にぎゅうぎゅうと腕を巻きつけていた。
「…こら、そんなに引っ付いたら歩けんだろう」
「うっ…わかってるし…ひわあぁ…ッッ!! テメ…!!」
 縋りついた腰に回した腕の力を緩めた途端、シャツの裾から潜りこんできた手のひらが直接腰をさらりと撫で回して、ジュダルの背がピンと撓る。指をすべらせる度に面白いくらいにびくびく跳ねる身体を楽しむように、シンドバッドの指はジュダルの背筋や腰骨のあたりを入念に撫でた。
「は、ぁ、あ、う、うぅ~…っ…!」
 手を止めさせたくて殴りつけようと思っても、置いていかれそうになった時の喪失感を思い出してしまいなかなか実行に移せない。早く出口を見つけて解放されたいけれど、足は竦んで、シンドバッドの先を進むことなどできそうもなかった。シンドバッドにつられるように歩くしかないのに、男はジュダルの弱みにつけこむように身体を弄くり続けていて。
「ッッ…うぅっ…ひきょう、もの…!!」
(ふざけんなふざけんなふざけんな、)
(俺は今、それどころじゃねーのに!)
 しかしジュダルにもプライドというものがあって、なかなか自らそこまで告げられなくて、恐怖に浮きそうになる歯をぎゅっと食いしばりながら薄っすら涙の膜の張った目できりきりとシンドバッドを睨めつけるぐらいしかできなくて。
 そのくせ、しっかりジュダルの手が握っているのはシンドバッドの身につけているシャツという事実が、じわじわと敗北感をつきつけてきていた。
(くそ、くそ、)
(悔しいから、こんなんで安心なんてしたくないのに)
 布地ごしに触れる体温に、ほっと息を吐きたくなる。
 肌に触れるよこしまな指すら、男の存在を感じさせて、縋りつきたい衝動に駆られる。
「ぁ、あ、…ッあぁ…!?」
 しかし、恐怖から逃げるようにとろとろと傾きかけていた理性は、尻を撫でるぬるりとした感触に一気に引き戻された。
 ぴったりとしたジーンズをかいくぐってぬるんと尻の狭間を撫でたその物体は、纏ったぬめりのせいかずずっと肉壁を掻き分けて奥まで押しこまれ、指だけがすぐに抜き取られた。思わずかくんと腰を落としそうになったジュダルを、傍らの男が腰を抱くようにして支えてくる。
「え、ちょ、おい、おま、おまえ、まさか、」
 しっかりと体内に植えつけられた異物感。
 冷えた汗がつ、とこめかみを伝うのを感じながらおそるおそるシンドバッドの方を見上げれば、にっこり口端を丸めた男は手にした小さなリモコンをぷらぷらと見せつけて――ジュダルの目の前でスイッチを押した。





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