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二次創作女性向小説置き場 主にマギ(シンジュ)青エク(志摩雪及び雪男受) 18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います
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迷い猫はしんだふり その後
「迷い猫はしんだふり 5-2(完)」のすぐあとのはなし あまあまです

拍手[59回]


***






 あれから数分後。
 まるでくっつき虫のようにシンドバッドの首にしがみつき、腰に足を絡みつかせて離れなくなったジュダルの身体をそのまま自分のマンションまで持って帰って、シンドバッドはソファーに腰を下ろした。
「……ッ、」
 少し身体を離して顔を覗きこもうとしても、それを拒むように一層強くしがみつく腕の輪がぎゅうと狭まって、微かにすん、と鼻を啜る音が聞こえて、シンドバッドは思わず聞こえないように小さく笑みを漏らした。ぽんぽんと頭の後ろを撫でて、シンドバッドはそのまま腕の中の温もりを味わうようにそっと目を閉じた。
 しばらくそうしていると、シンドバッドはやっと心の整理がつけられるようになってきて、ジュダルの頭をゆっくり撫でながらごくりと緊張のかたまりを飲み下し、口を開いた。
「…なあ、ジュダル。お前が、俺と同じ気持ちでいてくれたことはわかった。…でも、じゃあなんで、あんなにつらそうな顔をしていたんだ? ……好きでも何でもないやつに触られるのが嫌だったんじゃないのか」
 隔たれた距離。
 隠された浮かない表情。
 それは今でもしっかりシンドバッドの瞼の裏に残っていて、その原因がなんなのか、知っておきたかった。
 これからもう二度と、あんな顔をさせなくて済むように。
 しかしどんな答えが飛び出てくるか身構えていたシンドバッドの耳に、すぐ返ってきたのは怒ったような大きな声だった。
「はァ…? おい、俺がどれだけお前に自分からベタベタ触ったと思ってんだ。あんだけ触ったのに忘れたのか?」
 それはそうだけれど、あんな態度を取られたら不安に思うのは当たり前だろうと言いかけたシンドバッドに、ジュダルの呟きがぽつりと続いた。
「…第一、嫌いなヤツのなんてしゃぶるかよ」
「!」
 その一言で、シンドバッドの中の紳士的な表面がぽろりと剥げた。
「――じゃあ、聞くが」
 トーンの落ちたシンドバッドの声にジュダルが訝る間もなく、くっついていた身体がべりっと離されてソファーに押し倒される。見上げた先のシンドバッドの口元は意地悪な笑みを浮かべていて、その目は怒ったような強い光を宿していた。
「――っ!?」
「拾って初日からしゃぶってきたようなお前のことを、俺が好きになるとでも?」
「ッ!!」
 吊り気味の大きな目が、さらに大きく見開かれて、こわばるように揺れた。
 シンドバッドがふっと小さく息をついて、すぐにくしゃくしゃと前髪を撫でてくる。
「……わかってるよ、今は。お前は、何かをしたかったんだって」
 ジュダルの耳に届いたのは、あまさを含んだ優しい声だった。
「お前も、今はわかってるんだろう? あんなやり方じゃ、人の心は伝わらないって」
 頼りなくゆらゆらと揺れる瞳は、シンドバッドの大きな手のひらが隠してくれていた。
「…あんなこといきなりされたら、誰にでもそうなんだと思うだろう。だが、それをお前がわからないのはわかってきたし、わからないことに苦しんでるのもわかった。だから、何もしなくていいと言ったんだ。それなのに、苦しそうな顔は変わらなかった。それは、俺に触られるのも嫌で、でも生活するには我慢しなきゃいけないから、じゃないんだな?」
「違う!」
 否定の言葉は、すぐにジュダルの喉から飛び出した。
「俺は、…っ…」
 頭に触れたシンドバッドの手首を掴み、両手でぎゅっと包みこむ。
「ッ…そうだよ、お前に触れると苦しい。それは、お前が触ってくるくせに、俺を抱かないから。…それが、なんでかわからなくて、でも、前みたいにこっちから触ったら弾かれそうで、どうしたらいいかわかんなくて、でもお前は触ってくるし、俺は離れたくないから苦しくても振り払えるわけがなくて、でも、それだけじゃ……さみしかった」
 シンドバッドを掴んだ腕がぐっと引かれて、上体が抱き起こされる。ぴったりと身体が密着して、ジュダルはぎゅうぎゅうと痛いくらいに強く抱き竦められた。
「…ごめんな」
 頭を抱きこむようにされたせいでシンドバッドの胸板に耳がぴっとりとくっついて、少し早めの心音が聞こえてくる。
「ずっと、見ないふりをしてた。――お前を、可愛いと思う感情を」
 とくとくと鳴るその音と、目元が熱くなるようなむず痒くも歓喜を伴う男の言葉に、ジュダルはこみあげてくるものをごまかすようにくすりと笑みをこぼした。









 
 
 今日は俺が触るから、とシンドバッドは言った。
「…ッん……、」
 上衣を捲りあげた手のひらが素肌の上をすべる。ぞくぞくと背筋を駆けのぼる感覚に小さく息をもらすと、それを掬うようにシンドバッドの唇が塞いできた。
「ん……ん、む…は、んぅ…っ…、」
 唇を唇が挟んで、やわらかく何度も食まれる。腰をそろりと撫で回されて思わずぶるっとふるえが起こると、タイミングを測ったように男の熱い舌がぬるりともぐりこんできて、入念に歯列を舐めた。ゾクゾクと口の中から耳の後ろへ繋がるこそばゆさに似た快感に、ジュダルは夢中でシンドバッドの首にしがみつき、次をねだるようにくぐもった喉からあまえた声を出す。
「…ッン、……んん、…っふ…」
 胸板を厚みのある手で撫でられると、手のひらのわずかな凹凸さえ刺激になって胸の中心が尖っていくのがわかる。そこを親指の腹でゆるゆると押し潰すようにされて、たまらない疼きがジンと腰を炙った。
 男の手のひらが少し動くだけで、いちいち反応する自分の身体がなんだかくすぐったく感じられて、どんな顔をしたらいいかわからない。
(だって、)
(こいつにこんな触られ方すんの、はじめてで)
(そう思うと、余計たまらなくなって、)
「ッッ…ん、はっ…シン……」
 足から着衣が抜き取られるのを手伝って、内股を撫でられただけでひくんと性器が反応して、じわりと目元が熱くなる。
「…ッッ……、」
 赤く染まった耳朶をぱくりと咥えたシンドバッドが、反応しかけたそこを手のひらで包みこんできて、ジュダルは不意打ちをくらったような声をあげてしまった。
「ふあッ…?! ぁ、ぅうん…っは、あ…!」
 そこを擦りたてられると急に焦りのようなものがこみあげてきて、ジュダルは熱くなっていく中心を感じながらしがみついていた腕をほどき、シーツを爪先で掻くようにして膝を立てると、そろそろと後ろの孔に指を這わせた。潤いは何も纏っていなかったが、ぬくぬくと少しずつ指を埋めていこうとするジュダルの手に、シンドバッドが気づかないはずもなくて。
「ジュダル。俺がするって言ってるだろう」
「…ッ…ん…でもお前、…したことあんの」
 咎めるように軽く睨みつけてきたシンドバッドの目を、からかうように笑みを浮かべて返して、ジュダルはじわじわと内壁を押し広げていく指を止めなかった。
「…そりゃ、男とはないが」
 むすっとした声でそういうと、シンドバッドは動きを止めないジュダルの手首をぐっと掴んだ。
 文句を言おうと口を開きかけたジュダルは、かちあった目が存外静かな怒りを湛えていることに気づいてぞくりと肌を粟だたせた。
「――お前は、自分の指のほうがいいのか?」
「……――っ、」
 気づけばジュダルは、反射のようにぶるぶると首を横に振っていた。
 それを見てシンドバッドの口元がふっと緩み、意地の悪そうな笑みが残って、ジュダルが埋めた指が抜き取られていく。
「じゃあ、少しくらい慣れてなくても文句を言うな」
 そんな殊勝なことを言っていたのに、シンドバッドの指は十分なくらいにジュダルを翻弄した。
「っあ、アッ、ンン…ッ!! っや、もう、いっ…い…からぁ…ふあ、」
 男との経験はないと言っていたが、シンドバッドの指は慣れていないどころか注意深く丁寧に動いて、ジュダルが焦らされているんじゃないかと思うほどじっくり、ねっとり内側からほぐされていった。何度も何度も男の節だった指が締まった内壁を撫でて、擦って、優しく抉って、ジュダルの腹の中はせわしなくうねってシンドバッドの指を咀嚼した。
「ッは、んん…ぁ、あッ…はや、はやくぅ…シン…も、もういいから…ん、ンッ…!」
 身体の内側が融けていくほど、強くなるのは覚えのある焦燥で。
(はやく、はやく)
(こいつの気が変わらないうちに)
(そうだ、俺は、まだ、信じられないんだ)
(ほんとにこいつが俺を抱けるのか)
 今まであれだけどんな手を尽くしても抱いてくれなかったのに、今度こそシンドバッドが自分を抱く保証がどこにあるのか、ジュダルはまだ不安でたまらなくて。
「ッッ…シンドバッド…」
 シンドバッドを見上げた視線に何を見つけたのか、男は汗ばんだ頬をゆっくりと手のひらで撫でると、ジュダルの腰を抱え直した。
「――ッは、んンン…~~!!」
 ずずっと腰が進められて、大きな声が出てしまわないように慌てて口元を手のひらで押さえこむ。挿入時の衝撃とくるしさをなんとかやり過ごしたあとで、体内で熱がずるりと動いた瞬間、声にならない衝動が胸をつきあげた。
「はあっ、は、アッ…あ…、――ッッ!」
 シンドバッドが自分の身体に触れて、自分とぴったり重なることを選んでくれたのだ。
 そう思うときゅうっと喉が狭まって、身体の中心に力がこもって、耳のすぐ傍で男の呻く声がした。
「…ぅっ……そんなに締めるな、ジュダル」
 少しくるしげな、恨めしそうな声が嬉しくて、ジュダルはいつもの傲慢にも見える笑みを浮かべ、弾んだ息の間から挑発の言葉を紡いだ。
「ッ…いいだろ、イけよ。っ…ほら、俺のカラダ、きもちいだろっ…? ん、はっ…!」
 調子にのってシンドバッドの熱を引き絞るように腸内を蠕動させ、男の腰に足を絡みつけてねっとりと腰を回せば、触れた肌の体温があがっていくのがわかってますます男に快感を与えることに夢中になっていく。
「っあ、ん、ンッ…! は、ぁ、アッ…シン、きもちいか、っ? ぁ、あっ…ンン…ッッ!」
 ごりごりと中を埋める硬い感触に腰を押しつければ、そこからぶわりと熱が広がっていく。その熱さに急かされるように腰の動きは速くなって、その中をシンドバッドの意思で好きなように動かれたらひとたまりもなくて、ジュダルはきゅうぅっとシンドバッドの欲望を締めつけて熱いものを吐き出していた。
「っひ、あ、あ、――ッッ!! …っは、…ぁ…あ…っ…?」
「ッッ…! …ジュ~ダ~ル~…」
 明らかに早めの互いの遂情に恨めしそうな声を出したシンドバッドだったが、何やら不満そうなジュダルに身体の繋がりを解かれて訝しげにその行動を見守ることとなる。
 ジュダルが唇をむ、と曲げたまま手を伸ばした先は、シンドバッドがペニスに装着していた避妊具で。
「これいらない。もっかいしろ」
「は…!?」
 ゴムを外してシーツの上にぽいと放り投げたジュダルは、シンドバッドを押し倒す勢いで膝の上にのりあげるとべろりとシンドバッドの唇を舐めた。
「っん、ん、んぅ…っは、」
 ちゅくちゅくと舌を絡めて擦りあわせてくるジュダルのキスに応えていると、シンドバッドの硬度を保ったままの切っ先に擦りつけられたのは熱く、やわらかな感触で。
「うあ、あッ…シン、シン、もっとして、いれて、あ、はいっちゃ、あ、アッ…~~~!!」
 ぐっぐっとシンドバッドの先端に押し当てられたジュダルの尻孔が、少しずつ男根を呑みこんでいく。耳の近くで聞こえるあまったるくもつれた声と熱く狭い内壁の動きのいやらしさに、シンドバッドはくらりと眩暈がした。
「は、ぁ、んん…ッ! ん、シン、中、かけて、お前の、ぜんぶ、いっぱい、ほし…っンン…!」
 煽られることばかり一生懸命訴えかけられて、全身を使って欲しがられて、目の前のかわいい生き物を、もう存分に愛してもいいのだと思えば箍が外れるのに時間なんてそうそうかからなくて。
「ッッ…ジュダル…、」
「っあ、シン、すき、もっと、いっぱい、さわって、うんン…っ…!」
 これ以上ないほどの誘惑に、シンドバッドもまた全身でジュダルを欲することにのめりこんでいった。





 

 
 
 すっぽりかぶった上掛けからのぞくつやつやした黒髪を優しく梳きながら、シンドバッドはジュダルの媚態を反芻していた。
「…お前、あんなにかわいいのはちょっと…反則だろう」
 枕に押しつけたジュダルの口から、うるさい、と小さく唸る声がした。
「お前がいっぱい触るから、我慢できなくなったんだよ。…お前が悪い」
「……そうか」
 可愛らしい反論が聞こえてきて、やっとのことでそう返したものの、緩んでしまう口元を抑えきれない。シンドバッドはジュダルがかぶっていた上掛けをぺろりと捲ると、顔を半分枕に押しつけたままこちらを赤い目元で睨みつけてきたジュダルを至近で見つめ返してのたまった。
「俺は、我慢させるの得意だぞ?」
 その意味を正しく受け取らせたのは、意地悪く笑みに歪んだシンドバッドの口元と、妖しい凄みを含んだ覇者の眼光で。
「!」
 言葉の意味を理解した瞬間ぞくんと背筋を這った怖気に、ジュダルは早くも及び腰になるのを感じていた。
(俺、もしかして)
(飼い主間違えた、かも?)
 距離を取ろうと思わず退いた腰をぐっと抱き寄せられて、上擦った声をあげそうになる。
「これからじっくり、ゆっくり教えてやるから、な?」
 なぞられた首元には、見えない首輪。
 こみあげるものをすべて呑みこんで、ジュダルは不遜に笑ってみせた。
「ッ…やれるもんなら、」
 そう返して不意打ちのようにちゅっと唇を触れ合わせてきたジュダルに男は笑って、本当にお前はかわいいと惚気た。










END.
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